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猫の病気

2021.12.28

2023.09.11

猫の甲状腺機能亢進症。高齢猫の余命をさらに短くする疾患の症状や治療法

甲状腺機能亢進症は高齢の猫に多いホルモンの病気です。異常な活発性や体重減少などの症状だけではなく、高血圧や心臓病などを併発することが多く、猫の余命に影響を及ぼす可能性があります。甲状腺機能亢進症についての動物病院で受けることができる診察や血液検査、治療法について獣医師が解説します。

この記事の監修者
監修者

江本 宏平氏

株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

江本 宏平氏

株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

獣医師、犬猫の在宅緩和ケア専門、2012年日本大学卒
通院できない犬猫に獣医療を届けるため、往診専門動物病院わんにゃん保健室を設立。
短い時間の中で行う「業務的な診察」ではなく、十分な時間の中で家庭環境を踏まえた診療プランを提供できる「飼い主に寄り添う診察」を心がけています。

猫の甲状腺機能亢進症とは

猫の甲状腺機能亢進症とは高齢の猫でよくみられる内分泌疾患です。多くは甲状腺に良性の腫瘍が発生することで、身体の代謝をあげるホルモンである甲状腺ホルモンが異常に分泌されるようになり全身臓器への悪影響がみられます。

甲状腺機能亢進症は高血圧や腎不全、肥大型心筋症などの重い症状を引き起こす疾患と深い関係があります。

監修者コメント
江本 宏平
株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

高齢の猫に多いとされていますが、2歳以上で発症する可能性があるとされていますので、定期検診として、甲状腺機能検査は実施してあげましょう。
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猫の甲状腺機能亢進症の余命

疾患に対する余命を表す言葉として中央生存期間があります。これは研究において100頭の動物の余命を集計した際、余命が短い個体から数えて50頭目の余命を表します。以上に余命が長い、短い動物が含まれていたときの誤差を排除でき、より正確な余命を表しているとされます。

甲状腺機能亢進症の中央生存期間は417日といわれています。この中で、甲状腺機能亢進症と慢性腎不全を併発している猫では178日と余命が短く、甲状腺機能亢進症のみ罹患している猫では612日の中央生存期間が報告されています。

このように甲状腺機能亢進症は併発する疾患によっても余命が異なります。慢性腎不全と並んでよく併発する高血圧症を罹患している猫では、余命が短くなると述べられています。

監修者コメント
江本 宏平
株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

甲状腺機能亢進症の猫では、その病態によって腎臓病の検出が遅れやすいという特徴があります。甲状腺のコントロールを始めて、ようやく腎臓病があることに気づき、治療を開始するということは多くあります。病気が病気をマスクしてしまうという現象ですが、検査プランをしっかりと獣医師と相談することで、万が一の病態変化にいち早く気づいてあげられるようにしましょう。
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甲状腺機能亢進症の末期症状

甲状腺機能亢進症では高血圧症や肥大型心筋症などの重い疾患を併発することがあり、高血圧に伴う網膜剥離による失明、不整脈による突然死などの末期症状がみられる場合があります。

そのほか、甲状腺機能亢進症を放置したことによる慢性腎不全の増悪により尿毒症性脳症などの神経症状がみられることもあります。

症状の早期発見、早期治療について

甲状腺機能亢進症は内分泌疾患といいホルモンバランスが大きく乱れる病気です。当疾患がよくみられる高齢猫は、腎疾患や心疾患などに罹患しやすい年齢であり、また身体の衰えが顕著になってくる頃でもあります。

体調や体力に余裕がない老猫にとって甲状腺機能亢進症は、生きる質を表すQOLを大きく低下させる要因になり、また余命をさらに短くする恐れがある状態です。

家庭での健康チェックで様子がおかしかった場合、すぐに動物病院を受診する。定期的な健康診断を受診し、隠れている疾患や体調不良に目を配ることは、甲状腺機能亢進症の早期発見、早期治療のために非常に重要だといえます。

甲状腺機能亢進症でみられる症状

甲状腺機能低下症の猫において一般的によくいわれている特徴があります。

  1. 高齢
  2. 異常な活発性
  3. 痩せているの

3つです。「1」は甲状腺機能亢進症の好発年齢、「2」「3」は甲状腺ホルモンの作用が関係しています。

その他によくみられる症状や特徴としては、食欲の増加、多飲多尿、よく鳴く、嘔吐、下痢などが含まれています。甲状腺機能亢進症の猫でみられる痩せ、削痩は脂肪の減少というより筋肉の消耗が原因だといわれています。

原因となる甲状腺腫瘍のサイズによっては喉の異常な膨らみやできものなどの異常がみられる場合があります。

甲状腺機能亢進症になりやすい猫

甲状腺機能亢進症は12~13歳の高齢猫でよくみられる疾患です。シャムやメインクーンなどの品種でよくみられるとされた報告がある一方、シャム、ヒマラヤンなどの純血種では発症リスクが低いという報告もあります。

高齢の猫におこなえるケア

甲状腺機能亢進症の猫では、甲状腺ホルモンの分泌を下げる薬剤の投与や、血液中のホルモン濃度のモニタリングや、甲状腺の切除をおこなった場合には甲状腺ホルモンの適切な投与を一生の間続ける必要があります。

この一生の通院と薬剤の投与は飼い主にとって予想以上の負担になりますが、高齢猫の終末期医療としてとても重要な治療であり飼い主のできる最高のケア内容になります。

当疾患では適切な治療による体調の維持が大変重要であり、不適切な治療は体調の激変を招く危険性があります。老猫にとってこの変化は致命的な体調不良を引き起こす可能性があります。

併発しやすい疾患

高血圧症

高血圧症は甲状腺ホルモンの作用によりみられる病態であり、診断時に10%の猫で高血圧を持っていたと報告されています。同時に高血圧症は甲状腺機能亢進症の猫の寿命を短くさせると述べられています。

肥大型心筋症

肥大型心筋症は猫でよくみられる心疾患であり、症状を表さない無徴候性のものを含め猫の15%が罹患しているといわれています。肥大型心筋症では猫の心臓の筋肉が非常に分厚くなり、血液が通る心臓の内腔を押しつぶしてしまうことで心不全を引き起こします。また、心筋の変性により不整脈が起きやすい状態になるため、突然死の原因になり得る疾患です。

甲状腺機能亢進症はそれ自体が肥大型心筋症を引き起こす疾患だと知られていますが、重度の心肥大を引き起こすことはありません。一方、肥大型心筋症を持っている猫で甲状腺機能亢進症を併発すると心肥大がより重度になり、甲状腺機能亢進症を治療すると心肥大の程度が軽くなると報告されています。

慢性腎不全

慢性腎不全は猫でとてもよくみられる疾患であり、老廃物の排出などの生命にとって不可欠な機能を持つ腎臓機能が破綻することにより、死因の大きな一因を占めています。慢性腎不全は甲状腺機能亢進症と同じく高齢猫でよくみられ15歳以上の猫の31%が罹患しているといわれています。

ここで問題になるのが甲状腺機能亢進症による高血圧症は慢性腎不全の兆候や症状を隠してしまうということです。慢性腎不全には腎臓で老廃物のろ過をおこなう糸球体とよばれる組織に障害が起きるという病態があります。糸球体は血液を血圧によりろ過し、尿に変換するための組織です。

甲状腺機能亢進症は、高血圧によるろ過機能の向上や、腎不全を見つけ出すためのマーカーとなる蛋白質であるクレアチニンの産生を減らしてしまうことにより、併発する慢性腎不全を見つけ出すことを困難にします。

甲状腺機能亢進症の治療をおこなった猫では高血圧状態の解除などを介し、腎機能の低下を引き起こすことがあります。当疾患の治療をおこなった猫では240日以内に15.3%で腎機能が低下したことを示す血液検査の結果がみられたと報告されています。

猫の甲状腺機能亢進症の原因

甲状腺の働きとは?

甲状腺は猫の喉にある左右対称の内分泌器官であり、体内の栄養の利用などに大きな役割を持つ甲状腺ホルモンを分泌します。正常な状態では甲状腺ホルモンがあるおかげで全身臓器で正常な栄養素の利用がおこなわれ、適度な活発性を維持することができます。

甲状腺機能亢進症のように甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態では、異常な活発性による心機能亢進や、臓器の負荷、異常な栄養代謝による筋肉の分解などの悪影響がみられます。

甲状腺が異常に大きくなるいくつかのタイプ

甲状腺機能亢進症には悪性の腫瘍や良性の腫瘍、腫瘍性ではないが細胞が異常に増殖する過形成、人の橋本病のような自己免疫性疾患などさまざまな原因が含まれます。

猫の甲状腺機能亢進症のおもな原因は良性の腫瘍であり、かつ70%の猫では右と左の両方の甲状腺に良性の腫瘍性疾患が発生します。悪性腫瘍はまれであり5%以下の発生率とされています。

猫の甲状腺機能亢進症の治療

外科的療法

外科的療法では甲状腺の切除をおこないます。日本でおこなえる甲状腺機能亢進症の根治的療法ですが、手技が難しく術後の後遺症がでる場合がある、術後の維持が難しいといったデメリットをもちます。

猫の甲状腺機能亢進症は両側の甲状腺に腫瘍が発生することが多いため、甲状腺を完全に取り除く必要があります。このとき、甲状腺の周りにある副甲状腺、頚静脈、動脈、神経などの重要な臓器を障害する可能性があります。副甲状腺に損傷がみられると血液中のカルシウムが異常に低くなる低カルシウム血症などの重い後遺症が引き起こされ、また神経の損傷では喉の声を出す機能や、物を飲み込む機能に障害がみられる場合があります。

内科的療法

内科的療法では甲状腺のホルモン産生を抑える薬の投与をおこないます。外科療法のような根治的な治療はおこなえませんが、日々の投薬を続けることで体調の維持をおこないます。

内科的療法では外科的療法のような侵襲性を持ちませんが、18%の猫では嘔吐や食欲不振、沈鬱などの副作用がみられます。また、血液中の甲状腺ホルモンが正常な値を保ち続けるために動物病院への通院と血液検査によるモニタリングを、メチマゾールの投薬とともに一生続ける必要があります。

その他の治療法

補助的な治療法として食事療法をおこなうことがあります。甲状腺ホルモンはヨードとよばれる化学物質から合成されますが、甲状腺機能亢進症用の食事療法食ではヨードの含有量を減らしてあり、甲状腺ホルモンの分泌をできるだけ抑えるために設計されています。

ただし、食事療法はあくまでも補助療法であり、また自己判断でおこなうと危険性を伴います。獣医師の指示のもとおこなうようにしましょう。

まとめ

  • 甲状腺機能亢進症は猫でよくみられる内分泌疾患。
  • 良性の腫瘍により甲状腺ホルモンが過剰分泌される。
  • 異常に活発性のある痩せた老猫という特徴的な様子が観察されることがある。
  • 高血圧や肥大型心筋症、慢性腎不全などを介し、致命的な末期症状を引き起こすことがある。
  • 適切な通院と治療薬の投与を一生涯おこなう必要があり、老猫の終末期ケアとしても重要である。

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江本 宏平
株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

甲状腺機能亢進症は、早期発見が大切です。早期発見をするには、食欲の異常亢進や体重減少など、症状が出る前に知ることが必要であり、その唯一の方法が定期健診です。
また、この病気は治療すればおしまいではなく、多くの場合生涯に渡ってコントロールし続けなければなりません。
また、甲状腺機能亢進症の薬が、現状だと苦く飲みづらいものしかないため、どうしても錠剤が飲めない子に関しては、投薬自体が至難となります。
コントロールが必要な病気であることから、かかりつけの動物病院と、現在の症状だけではなく、どんなふうに飲ませているかなどの投薬方法も共有していくことをお勧めします。
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参考文献

※1:Evaluation of Body Weight, Body Condition, and Muscle Condition in Cats with Hyperthyroidism
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5115195/
※2:The Feline Cardiomyopathies: 2. Hypertrophic cardiomyopathy
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8642168/
※3:Survival and the Development of Azotemia after Treatment of Hyperthyroid Cats
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1939-1676.2010.0550.x
※4:Diagnosis and management of feline hyperthyroidism: current perspectives
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7337209/

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この記事の執筆者
執筆者

若林 薫氏

獣医師
ライター

若林 薫氏

獣医師
ライター

麻布大学を卒業し獣医師免許を取得、大手ペットショップで子犬・子猫の管理獣医師として勤める。その後、製薬企業での研究開発関連業務を経て、ライターとして活動する。幅広い専門知識を生かした記事作成を得意とする。

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