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犬の病気

2021.11.30

2023.09.11

犬の骨肉腫。末期症状や痛みのケア、治療法や余命、原因について解説

犬の骨肉腫は大型犬に多い骨の悪性腫瘍です。骨肉腫は非常に悪性度の強い腫瘍であり、患部の強い痛みや転位などによる末期症状が問題になります。この記事では骨肉腫でみられる症状や、好発犬種、余命や死亡率などを獣医師が分かりやすく解説しています。

この記事の監修者
監修者

江本 宏平氏

株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

江本 宏平氏

株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

獣医師、犬猫の在宅緩和ケア専門、2012年日本大学卒
通院できない犬猫に獣医療を届けるため、往診専門動物病院わんにゃん保健室を設立。
短い時間の中で行う「業務的な診察」ではなく、十分な時間の中で家庭環境を踏まえた診療プランを提供できる「飼い主に寄り添う診察」を心がけています。

犬の骨肉腫

骨肉腫は骨の悪性腫瘍

骨肉腫は6~8歳前後の中高齢の大型犬から超大型犬でもっともよくみられる骨の悪性腫瘍です。40kgを超える犬で小型~中型犬より高リスクであることが知られています。

骨肉腫は非常に悪性度の高い腫瘍であり、四肢の骨、身体の骨、頭蓋骨などに発生したのち、激しい組織浸潤と肺や他の骨に対する転移がみられます。また、90%以上の犬では主な病変以外にも小さな転移が存在し、断脚などの手術で病巣を取り除いても再発を引き起こし予後が良くありません。

監修者コメント
江本 宏平
株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

骨肉腫に対する断脚は“治療”ではなく“疼痛緩和”です。
腫瘍性疾患の中でもペインコントロールと言われる疼痛にフォーカスした看病が必要になってくる病気です。痛み止めには、非麻薬性のものと麻薬性のものがあり、それらをうまく使って予後を過ごすことが大切とされます。麻薬性の鎮痛薬で最も使いやすいフェンタニルパッチという貼るタイプの鎮痛薬があります。これは便利ではあるのですが、法律上、それを処方した麻薬取扱責任者しかそのシールを貼ったり剥がしたりしてはいけないという不便さがあるのが足枷になるかもしれません。
また、骨肉腫は後発犬種が大型犬以上であることから、動物病院への通院が難しくなってしまうことが多いです。骨肉腫と診断された時点で、今後のことを考え、そこの獣医師が往診してくれるのかどうかを伺った方がいいです。
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骨肉腫になりやすい犬種

ジャーマンシェパード、ドーベルマン、ボクサー、アイリッシュセッター、ロットワイラーなどの大型~超大型犬種が好発する疾患です。

注意するべき症状

犬の骨肉腫では強い痛みを伴った骨の腫れや腫瘍による骨折などがみられます。この病的な骨折は57.1%が後肢で引き起こされます。
腫瘍による痛み、違和感が原因となり歩行困難になり運動を嫌がるなどの症状がみられます。

骨肉腫と癌性疼痛

腫瘍による痛みを癌性疼痛とよび、犬の生命の質を表すQOLの著しい低下を引き起こします。

骨肉腫による激しい癌性疼痛は肢に主な病変があり、加えて肺転移がみられる犬、つまりは外科的な手術による延命効果があまり望めない場合でも、断脚を実施する理由になり得ます。

癌性疼痛を軽減するために強い痛み止めの内服や注射や、緩和療法としての放射線照射をおこなうことがあります。骨肉腫に対する放射線療法は骨を破壊する破骨細胞の作用を抑え、腫瘍自体を退縮させることにより癌性疼痛の軽減に役立ちます。

放射線療法では犬の70%で痛みの軽減がみられ、この鎮痛作用は60~120日継続したと報告されています。抗がん剤療法を併用した場合さらに効果的であったとも述べられています。(※1,2)

骨肉腫の治療

動物病院でおこなうことができる治療

犬の骨肉腫に対し、動物病院でおこなうことができる治療は大きく分けて

  1. 外科的治療
  2. 内科的治療
  3. 放射線療法

の3つがあります。

外科的療法はもっとも効果的な治療法であり、内科的療法には抗がん剤療法などが含まれ、放射線療法と併せ、外科療法の補助的な治療としておこなわれます。

放射線療法は高度な専門的知識をもった臨床医が所属している二次診療施設でしか実施できないことが多く、おおよそ数十万円以上の実施費用が必要になります。外科的療法や抗がん剤療法においても、外科手術のための麻酔や抗がん剤の費用をはじめとして普段の体調不良などの治療とは比較にならないほど高額な治療費用が必要になる場合があります。

外科的治療

外科的治療には腫瘍のある肢を根元から切断する断脚手術と腫瘍のみを切除する四肢温存手術が含まれます。骨肉腫は手術ではとりきれない微小腫瘍からの再発が多い腫瘍であり、断脚をおこなった場合でも根治が難しい疾患です。しかし、断脚をおこなうことで患脚の強い痛みを取り除くことができ、ある程度の延命が望めます。

四肢温存手術は断脚を望まない飼い主の意思のもと実施される場合がある手術ですが、30~50%でみられる術後感染症や高い腫瘍の再発率などのデメリットがあります。

内科的治療放射線療法

骨肉腫に対する内科的療法、放射線療法は単一ではあまり効果のある治療法ではありません。断脚などの外科的治療と併せておこなうことで、外科的治療単独よりも長い期間延命させることができると報告されています。

骨肉腫の余命や死亡率

骨肉腫のステージングと余命

犬の骨肉腫は病変の進行具合によってⅠ~Ⅲのステージに分けることができます。もっとも症状の進行が軽度なステージⅠでは腫瘍の転移はみられず、低悪性度と判断される病変がみられます。ステージⅡでは同様に転移はみられませんが、高悪性度と判断される病変がみられます。

ステージⅠとⅡにはAとBの2つの群分けがなされます。Aは腫瘍が骨内に収まっている状態、Bは腫瘍が骨外に増殖、浸潤している状態をいいます。

骨肉腫の犬では疾患の診断がなされた時点でステージⅡBの状態であることが多いとされます。つまり、転移はみられないが骨外に浸潤する高悪性度の腫瘍がみられます。

ステージⅢはもっとも進行した骨肉腫であり、転移がみられます。この状態の犬では中央生存期間は76日だといわれています。中央生存期間は同じ疾患を持つ犬のグループのうち、半分の生存期間をさし、生存期間の平均より正確な予後を表すとされています。

治療法別の余命

外科的な治療による断脚では中央生存期間は138日と報告されており、他の研究では断脚単独での余命は3~5カ月程度だと述べています。

断脚と抗がん剤による内科的療法を組み合わせた治療法では8~12カ月程度が余命になり、外科的治療単独より長い予後が期待できます。

また、外科的な治療といくつかの抗がん剤療法を組み合わせた治療法での生存率を述べている研究では、治療後1年での生存割合は0.29~0.44、2年では0.13~0.20、3年では0.03~0.10であるとされています。(※1,2,3)

骨肉腫の犬にしてあげられること

きちんと通院を続ける

犬の骨肉腫はけして余命の長い疾患とはいえません。根治的な治療をおこなえるわけでなく、高い治療費も必要になります。

しかし、動物病院へきちんと通院を続けることは犬にとって効果的なQOLの維持のひとつです。強い癌性疼痛は骨肉腫の闘病において非常に大きな問題になりますが、抗がん剤療法や鎮痛薬の処方は根治に向けた治療よりも痛みの軽減という大きな役割を担います。

痛みを取り除く、軽減することで犬は元気や食欲を少しでも回復することができます。

飼育環境を良くする

嗜好性の高い食事や、清潔な環境は犬の闘病を助けます。断脚による腫瘍の切除、抗がん剤による身体の負担、腫瘍自体の増殖など、多くの要因が犬にとっていままで普通だった生活を送ることを困難にします。

かかりつけの獣医師と相談して決めた嗜好性の高い食事は、犬の食欲の回復につながるかもしれません。段差や障害物をなくすことで、肢を失い、また痛みによる気力の低下により低下した行動力でも、できる限りの運動をすることができます。

時には専用のハーネスや、車いす、台車などで散歩の補助をおこなうことで、出かけることができず退屈な生活を改善することができるでしょう。

床ずれを防いであげる

寝たきり状態になってしまった犬にとって床ずれは痛みや不快感の原因となり、感染症による身体状態の悪化をも引き起こします。

クッション性の高い敷物の上に寝させてあげることや、一日に数回のねがえりの補助、汚れた敷物をすぐに交換してあげることで床ずれの予防や進行を遅らせることができる場合があります。一般的に寝たきりの動物には筋肉を使用しなくなったことによる萎縮や拘縮などの症状を緩和するためにマッサージをおこなう場合がありますが、骨肉腫の犬ではかかりつけの獣医師への相談をまずおこないましょう。

骨肉腫は骨をもろくする疾患でもあります。無理なマッサージや不適切な力のいれかたは骨折を引き起こす可能性があります。

また、トイレの補助やおむつの頻回の交換は寝たきりの犬の清潔を守り、QOLの維持のために重要です。

末期の骨肉腫と向き合うには

悪性腫瘍の末期では犬は悪液質とよばれる体調の状態になっていきます。これは腫瘍に対する炎症反応や腫瘍自体の組織障害が高度に進行していき、さらなる体調の悪化を招いている状態です。削痩や免疫力の低下などの症状がみられ、また癌性疼痛による強い不快感も同様にみられる場合があります。

骨肉腫の末期では強い癌性疼痛や悪液質によって身体状態が極端に悪くなり、人からみて犬が生きることがとても辛いと判断できることがあります。

そのような場合に獣医師から安楽死を進められることがあるかもしれません。安楽死は最後の治療として麻酔などの処置による痛みを感じない状態での心停止をおこなうことです。人が判断した犬の耐え難い苦痛から解放する目的でおこなわれる処置ですが、骨肉腫の末期では安楽死をおこなうことがあります。

安楽死の実施の可否については獣医師間でも答えが分かれる難しい問題ですが、安楽死は人の目線での犬の救済であるということは間違いのないことです。

もし、そのときがきてしまった場合にどのような選択をおこなうかは家族間でしっかり方針を定めておく必要があります。

まとめ

  • 犬の骨肉腫は大型犬に多い骨の悪性腫瘍
  • 骨肉腫が発生する原因は詳しくは明らかにされていない
  • 四肢や身体の骨に発生し、強い痛みや骨折、肺転移などの末期症状を引き起こす
  • 骨肉腫の痛みの軽減のために肢を切除する断脚や放射線療法をおこなうことがある
  • 骨肉腫の余命は断脚をおこなった場合で4カ月前後、断脚と抗がん剤療法を併せておこなうとより長くなる
監修者コメント
江本 宏平
株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

骨肉腫を発症した愛犬に対して、家族としてできることは、まずは獣医師に包み隠さず相談することです。介護に仕方や看護の仕方は、痛みを伴う愛犬との今後の接し方を考える上で最重要項目となってきます。また、多くの場合が大型犬以上であることから、簡単に抱きかかえて通院できる訳ではないと思いますので、「こんな症状が出たらどう判断して何をしたらいいのか」など、アクションプランを明確にしておくこともおすすめです。
そして、何をどこまでしてあげたいのかをご家族様間でしっかりと話し合いましょう。一人で決めて責任を感じるのではなく、家族の意志を確かめ合った上で、今後の方針を決めていきましょう。
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参考文献

※1:What do we know about canine osteosarcoma treatment? – review
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4330401/
※2:Recent and current clinical trials in canine appendicular osteosarcoma
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7020630/
※3:Comparison of Carboplatin and Doxorubicin‐Based Chemotherapy Protocols in 470 Dogs after Amputation for Treatment of Appendicular Osteosarcoma
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4857984/

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この記事の執筆者
執筆者

若林 薫氏

獣医師
ライター

若林 薫氏

獣医師
ライター

麻布大学を卒業し獣医師免許を取得、大手ペットショップで子犬・子猫の管理獣医師として勤める。その後、製薬企業での研究開発関連業務を経て、ライターとして活動する。幅広い専門知識を生かした記事作成を得意とする。

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