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犬の病気

2021.11.11

2023.09.11

犬に黒色タール便や血便がみられたときの余命、原因疾患について。

犬の便に血液が混じると黒色タール便や鮮血便がみられます。血液便は胃や腸の出血により引き起こされ、リンパ腫や慢性腎不全などの犬の死因で多くみられる疾患の症状としてみられます。便の異常がみられる疾患の症状や余命、死期や最後が近い犬の症状、行動について獣医師が解説します。

この記事の監修者
監修者

増田 国充氏

ますだ動物クリニック院長 / 獣医師

増田 国充氏

ますだ動物クリニック院長 / 獣医師

獣医師、防災士、2001年北里大学卒
2007年ますだ動物クリニック開院。診療に東洋医療科を加え、鍼灸や漢方による専門外来を実施。運動器疾患に対して鍼灸による治療を積極的に取り入れ、県内外から症例に対応する。また、鍼灸・漢方等で国内外で講演を実施。動物看護系専門学校非常勤講師兼任。

犬の便が赤い、黒いとき

犬の正常な便は薄い~濃い茶色で、つかむと少し形が崩れるくらいの柔らかさのものです。便が赤い、もしくは黒いときは身体で異常がおきているサインです。このような異常な便の色は胃や腸などの消化管で出血がおきているため、赤血球由来の色素であるヘモグロビンや新鮮な血液そのものが混入してみられます。

血便と黒色タール便の違い

消化管で出血がおきているときにみられる便の種類には

  1. 黒色の黒色便もしくは黒色タール便
  2. 鮮血色から赤色の血便
  3. 便の表面に透明な粘膜とともに血液のような色がみえる粘血便の3種類がみられます。

これらの便は消化管のどこで異常がおきているかを教えてくれる徴候でもあります。

小腸性下痢と大腸性下痢

消化管の異常によりみられる下痢や便秘は小腸性下痢と大腸性下痢に大別することができます。
「1」黒色タール便は小腸性下痢で多くみられ、「2」血便、「3」粘血便は大腸性下痢でみられます。

小腸性下痢では胃から食物が送られてくる最初の腸であり肝臓や膵臓から消化酵素が分泌される「十二指腸」や、その後に続く「空腸」、「回腸」などが含まれる小腸や上部消化管とよばれる部分が原因となり下痢が引き起こされます。

大量の下痢や嘔吐などの症状がみられる特徴があり、上部消化管で出血がおきている場合、黒色タール便がみられます。出血してすぐの血液は鮮血色をしていますが、上部消化管→下部消化管と血液が排出されるまでの経路が長いため、便が鮮血色から黒色に変化します。

胃潰瘍などの胃に出血がみられる疾患では黒色タール便や鮮血~コーヒー色の内容の嘔吐がみられます。

大腸性下痢では「結腸」や「直腸」が含まれる大腸や下部消化管とよばれる部分が原因となり下痢が引き起こされます。回数の多く、量の少ない便、便秘、排便姿勢をしているのに便がでないしぶりなどの症状がみられ、下部消化管で出血がおきている場合には血液が大きく変色せずに便に含まれる②血便がみられます。また、③粘血便は大腸の表面をおおう粘膜が便に付着してでてきた状態です。

血便や黒色タール便の原因となる疾患

血便や黒色タール便は消化管である程度の出血が起きていることを表しています。出血が続くことで犬は貧血になり元気の低下や運動性の低下などの症状がみられますが、出血を引き起こす大本の原因には慢性腎臓病やリンパ腫などの犬の死因として多くみられる比較的重度な症状を引き起こす疾患が含まれます。

慢性腎臓病などによる胃潰瘍

慢性腎臓病は犬で最も多い死因のうちのひとつであり、腎臓の進行性で不可逆的な機能不全を特徴とする疾患です。腎臓は老廃物の排出や血液成分のバランス調整、赤血球の生成などの生命の維持に欠かすことのできないいくつかの機能をつかさどる重要な臓器です。

慢性腎臓病では元気や食欲の低下、嘔吐、下痢、体重の減少、多飲多尿、尿失禁などの症状がよくみられますが、血液中の老廃物の排出が上手くできなくなり引き起こされる高アンモニア血症は、けいれんなどの神経症状を引き起こす尿毒素性脳症などの大きな症状を引き起こします。

また、腎機能悪化に従って胃潰瘍がみられる場合があり、胃での出血が原因となり黒色タール便や、内容物に血液が含まれる鮮血色やコーヒー色の嘔吐などを引き起こすことがあります。(※1,2)

パルボウイルス感染症

パルボウイルス感染症は消化管で増殖する犬パルボウイルスによって引き起こされる消化器感染症であり、ブドウ酒様と形容される血下痢と幼弱な犬に対する高い致死率を特徴とする疾患です。

パルボウイルスは感染犬の嘔吐物や糞便に含まれ、経口的に感染します。ウイルスは1~5日間、胸腺や咽頭または腸間膜リンパ節で増殖したのち、ウイルス血症を引き起こします。ウイルスが腸の上皮細胞で増殖することで上皮の脱落や出血を引き起こし血下痢や嘔吐などの主症状を引き起こし、腸内細菌の二次感染による敗血症性ショックなどが犬を死に至らしめます。(※3)

慢性腸症(炎症性腸疾患IBD)

炎症性腸疾患は犬の慢性腸炎を引き起こします。腸の組織に免疫細胞が浸潤するという特徴がある疾患ですが、詳しい原因はわかっていません。炎症性腸疾患を引き起こす免疫細胞にはいくつもの種類があり、症状や疾患の重症度を左右します。

犬でもっとも多い炎症性腸疾患はリンパ球の組織浸潤を特徴とするリンパ球プラズマ細胞性腸炎ですが、血便を引き起こすものとしては好酸球性腸炎やボクサーの組織球性潰瘍性結腸炎などが知られています。

好酸球性腸炎では体内に侵入した寄生虫を排除する役割を持ち、アレルギー反応に関係する好酸球とよばれる免疫細胞が腸組織に浸潤します。嘔吐や小腸性および大腸性の下痢などがみられ、長期の罹患により体重の減少もみられることがあります。

好酸球に含まれるヒスタミンなどの物質はアレルギー反応の原因となり、組織の刺激や障害による出血を引き起こすと考えられます。胃から大腸までの幅広い個所に発生する病変は、吐血、黒色便、血便などさまざまな出血性の症状を引き起こします。

ボクサーの組織球性潰瘍性結腸炎は若齢のボクサーやフレンチ・ブルドックにみられる炎症性腸疾患です。腸粘膜がえぐれる潰瘍といわれる病変ができ血便がみられます。

腸閉塞

腸閉塞とは小腸や大腸などの腸管が塞がってしまう疾患をいいます。腸の壊死や破裂によるショック症状を介して犬を死に至らしめる可能性があり、緊急の外科手術をおこなうことも多い疾患です。

腸閉塞はおもちゃやひも状の異物、とうもろこしの茎などの誤食によるものや、消化管内腫瘍によるものなどさまざまな原因により引き起こされますが、腸捻転や腸重積といった腸閉塞を引き起こす疾患では血便がみられることがあります。

腸捻転はジャーマン・シェパードに多くみられる疾患であり、腸が血管や腹膜を巻き込んで回転することにより腸閉塞や血行障害が引き起こされます。一方、腸重積は寄生虫の感染や膵炎などの強い炎症が原因となり隣接する腸の太い部分と細い部分が重なり合ってしまう疾患です。急性から慢性の腸の通過障害や血行障害を引き起こします。

リンパ腫

リンパ腫は犬でもっとも多い腫瘍のひとつであり、免疫細胞のひとつであるリンパ細胞が腫瘍化した疾患です。リンパ腫には全身に病巣が点在する多中心性リンパ腫のほか、いくつかの種類に大別することができます。

消化器型リンパ腫は腸や肝臓、脾臓などの消化器や腸間膜リンパ節などに発生する悪性腫瘍です。慢性の嘔吐や下痢、体重減少が症状としてみられますが、腸管で腫瘍が増殖することで血便や黒色タール便がみられることがあります。(※4)

血便や黒色タール便の治療と犬の余命

血便やタール便がみられる疾患の中には腎疾患やリンパ腫のような症状がどんどん進行していき、最終的に犬が死んでしまうものも含まれています。この項ではいくつかの疾患の予後や中央生存期間について説明しますが、どちらの言葉も余命と同様の意味を持ちます。また、中央生存期間は疾患に罹患した犬が100頭いたときの50頭目の生存期間を言い、100頭の生存期間の平均より実際の余命を正確に表しているとされています。

腎疾患で入院した犬の退院後の中央生存期間は105日だったと報告されており(※1)、他の研究では腎不全の診断からの中央生存期間は226日であったといわれています(※2)。

パルボウイルス感染症は無治療では90%以上の犬が死亡するとされ(※3)、腸閉塞では血行障害による組織壊死がみられるために、救命のための緊急の外科手術による整復をおこなう必要があります。

リンパ腫は無治療では4~6週で犬が死亡するとされ、リンパ腫の治療として一般的な抗がん剤の多剤併用療法をおこなうことで中央生存期間は13週間になると報告されています(※4)ただし、この研究では消化器型リンパ腫と比較してより予後が長い多中心型リンパ腫について述べられています。

犬の最後が近いときの症状

血便や黒色タール便は必ずしも死が近い徴候であるわけではありません。ですが、腫瘍や腎疾患によって身体が弱っている犬や、幼弱な仔犬にでは消化管からの出血により血液を失うことによって非常に大きなダメージを受ける可能性があります。健康だった犬で血便や黒色タール便がみられたときには迷わず動物病院を受診し、精密な検査を受けた方がいいのは確かでしょう。

また、死期の近い犬では、食欲の廃絶や意識レベルの低下、体温の極端な低下、浅く速い呼吸などの症状がみられることがあります。これらの症状や、併せて血便や黒色タール便がみられた場合は、犬の最期が近づいているサインである可能性があります。

監修者コメント
増田 国充
ますだ動物クリニック院長/ 獣医師

犬が最期を迎えるとき、腎臓の機能が低下することが多くみられます。もともと腎臓病であった場合、あるいは持病が他にあって合併症として腎臓病に至ることなど様々ですが、本来尿として排泄されるべき毒素が体内に残り消化器に悪影響を及ぼすことでタール状の便を作り出すことがあります。
死が近い状態のとき、犬自身の意図にかかわらず糞便が漏れ出てしまうことがあります。このような場合、トイレシーツを敷き犬自身や周辺が汚れないように手厚く看ていただくことが望まれます。
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愛犬にしてあげられること

血便や黒色タール便は犬にとって大きな疾患のサインであることがわかりました。時に犬の命を奪う疾患を予防する、慢性的疾患に罹患した犬をできるかぎり長く生きさせてあげるために飼い主にできることはなんでしょうか?

犬を長く健康に飼うために飼い主ができるもっとも効果的な方法のひとつとして、疾患の早期発見、早期治療があります。日々の健康チェックや定期的な動物病院での健康診断で小さな異常をみつけ治療を開始することは、血便や黒色タール便の原因にもなる慢性腎臓病や、消化管型リンパ腫のような疾患の進行を少しでも食い止めるために有効です。

また、慢性疾患の継続的な治療は、犬の健康寿命を長くするために必要です。獣医師に指示された通りに投薬をおこない、通院する。病状の変化を報告するといった正しい治療は、簡単そうにみえておこなうことが難しい一面もあります。しかし、飼い主と獣医師が協力し、正しい治療を実施することは、慢性疾患に対する最大限の対処だといっても過言でもありません。

日々の生活の中でできるかぎり犬の世話をおこなってあげることも重要です。犬は人間にとって最良の伴侶であり、犬にとって飼い主は大好きなパートナーです。飼い主にとっても犬にとっても幸せな時間を長く過ごすことは、長くも短くもある余命をより大切に過ごすことでもあります。

監修者コメント
増田 国充
ますだ動物クリニック院長/ 獣医師

便の色や形は、その犬の健康状態を大いに反映するバロメーターとなっています。黒い便やタール便が出たら即ち命に直結するというわけではありませんが、中には重大な問題が潜んでいる可能性を考えなければいけない場合があるというのは事実です。この場合、便の状態以外に異常な兆しがないかどうかをよくチェックしてみていただくことが重要です。吐き気や食欲のほか、どこかを触れられることを拒む様子や、明らかに元気がない状態であれば、速やかに獣医師の診察を受けましょう。
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参考文献

※1:Acute on chronic kidney disease in dogs: Etiology, clinical and clinicopathologic findings, prognostic markers, and survival
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7694831/
※2:Chronic Kidney Disease in Dogs in UK Veterinary Practices: Prevalence, Risk Factors, and Survival
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jvim.12090
※3:Update on Canine Parvoviral Enteritis
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7467068/
※4:Managing the canine lymphosarcoma patient in general practic
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1950108/

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この記事の執筆者
執筆者

若林 薫氏

獣医師
ライター

若林 薫氏

獣医師
ライター

麻布大学を卒業し獣医師免許を取得、大手ペットショップで子犬・子猫の管理獣医師として勤める。その後、製薬企業での研究開発関連業務を経て、ライターとして活動する。幅広い専門知識を生かした記事作成を得意とする。

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