2024.06.05
猫の健康診断とは?項目や費用・病院に連れて行くときの注意点について
猫の健康診断について詳しく解説します。必要性や検査項目、費用などの概要はもちろん、猫を病院に連れて行けなくてもできる検査や、連れて行く場合の注意点も詳しく取り扱います。初めて猫を連れて移動する際に必要なキャリーバッグ選びについても解説します。
ポイント
猫の健康診断は必須です。猫は特に体調不良を隠す生き物なので、飼い主が気づかないうちに病気が進行する恐れがあります。健康だと思っていた猫に健康診断で病気が発見されることがあります。
病院を選ぶ際は、病院側の猫に対する対応も確認しておきましょう。移動を怖がり、猫を通院させられないときは、尿・便検査だけでも受診することをおすすめします。
猫に健康診断は必要?目的や必要性について
猫の健康診断は受診しましょう。猫は具合が悪いことを隠す生き物であることと、病気によっては症状に現れないまま進行することもあるためです。
獣医師団体の一般社団法人Team HOPEが行った「ペットの健康管理に関する実態調査結果報告書(2023年版)」によると、以下の割合で健康診断によって病気や異常が見つかっています。
- 2022年の調査……7歳以上の猫のうち32%(7歳未満は20%)※1
動物は自分の健康不良を飼い主に訴えることができません。
「何かおかしい」と感じる頃には手遅れというパターンもあります。猫のためにも、定期的な健康診断をおすすめします。
猫の健康診断の検査項目について
猫の健康診断項目は、動物病院によって変わりますが、多くの病院で採用されているのは以下の項目です。
問診
猫の様子を飼い主に質問をするのが問診です。
例えば、以下のようなことについて聞き取りがあります。
- キャットタワーに登ったり、飼い主と遊んだりする元気はあるか?
- 食事は何をどれくらい食べているか?
- 水は1日どれくらい飲むか?
- 毛並みや皮膚の状態に変化はないか?
- グルーミングの強さや頻度に変化はないか?
- 排尿や排便の量・状態・頻度に変化はないか?
普段から猫の様子を観察し、気になることがあれば獣医師に尋ねましょう。
身体検査
身体検査は、体重、視診、触診、聴診、体温測定を行います。
血液検査
血液検査で確認する項目は、動物病院ごとあるいは、猫の年齢や既往歴により変わります。
主な項目は、赤血球数や白血球数、血小板数、ヘモグロビン数、ヘマトクリット、肝臓の各種数値が一般的です。
これらを見ることで、感染症や肝臓病、貧血、内出血の有無や脱水などが確認できます。
レントゲンやエコー
オプションで提供されることもありますが、レントゲンやエコー検査では内臓や骨、関節の状態を把握できます。
腎臓から尿道までの間に石がないか、消化できていないものが胃腸に詰まっていないか、関節などに変形はないか、石灰化がないかなどをチェックします。※2
石灰化とは、カルシウムが本来の場所以外の部分に沈殿して固まることで、石灰沈着症と呼ばれます。慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症など、命に関わる病気が原因になることもあれば、筋萎縮や変形性関節症、皮膚繊維腫などで発症することもあります。検査することで、早期発見が可能です。※3
猫は腎臓など泌尿器に異常が出ることが多いため、エコー検査を行うことで安心できます。また、腫瘍や心臓病、腸閉塞などの疾患もエコーで確認できます。※4
尿・便検査
尿検査では、腎臓や膀胱、尿道などに異常がないかと同時に、糖尿病や感染症の有無も確認できます。
便検査は胃腸の状態確認はもちろん、寄生虫の有無や誤飲・誤食の有無、細菌バランスなどもチェックします。
猫の健康診断の費用について
猫の健康診断は、シニアコースやライトプランなど、各種プランを用意して定額健康診断を行っている動物病院が多くあります。検査項目や価格は異なります。
そのうえで、一般的な猫の健康診断費用相場は、16,000円~。
シニア猫の健康診断は少し価格があがり、22,000円~。となります※5
また、健康診断はペット保険の適用外です。ペット保険はあくまでも病気になった場合に利用できる保険です。
健康診断で病気が発見され、追加での検査費用は保険の対象です。※6
健康診断はいつから受けさせれば良いの?
猫を迎えたら、すぐに健康診断を受診しましょう。猫から人へうつる病気もあるため、安全のためにも受診しておきましょう。※7
また、口内や目の病気・不調などは飼い主ではわからないことも多く、食事を食べてくれない・なかなか飼い主に慣れないなどの生活面の不具合として現れることもあります。「お迎えしてすぐだから」「慣れないから」と思わず、一度健康診断を受診しましょう。
ブリーダーやペットショップで健康診断を受けている場合も、迎えてすぐに獣医師の診断を受けることで食事やしつけのアドバイスももらえます。
拾ってきた猫の場合は特に、感染症やケガ、病気にかかっている可能性が他の猫よりも高いため、できるだけ早く健康診断を受診しましょう。中には早期治療が必要な場合もあります。
仔猫
猫は母親のミルクを飲まなくなることで親から免疫をもらえなくなり、感染症リスクがあがります。
さらに、家に迎えて1週間くらいまでの間は、環境の変化に慣れず病気になりやすい時期です。
成長具合を確認してもらうためにも、お迎えをして1週間程度を目安に受診しましょう。その際、便を持参することで寄生虫検査をスムーズに受けられます。
身体検査や寄生虫検査と予防、先天性疾患のチェックと同時に、混合ワクチンも接種あるいは相談をしてください。ワクチンは、生後2~3カ月の間に2回接種する必要があります。その後は年1回の接種です。※8
永久歯が生えそろう生後6カ月になったら、一度受診をしましょう。
仔猫の頃から動物病院に通わせて慣れさせる意味でも、定期的な健康診断がおすすめです。
成猫
1歳~7歳までの猫の場合は、年1回を目安に健康診断を受けましょう。
成猫が気を付けなければならないのは体重です。特に避妊去勢手術をしている猫は太りやすく、体重管理をする必要があります。
外飼いの猫ならば、定期的に健康診断を受けて感染症にも気を付けましょう。
シニア以降
シニア以降の猫ならば、半年に1回は健康診断を受けてください。※9
シニア以降の猫は、心臓や腎臓など内臓疾患はもちろん、歯の病気や関節痛、目の疾患も増えます。
さらには、猫は人間と比べると早く歳を取ります。そのため、半年の間に状態が大きく変わることもあります。※10
猫を病院に連れて行けないときは、尿・便検査だけでも受けよう
猫は尿トラブルが多い生き物であり、腎臓病にかかることが多い生き物です。
しかし、尿路結石でも慢性腎臓病でも、血液検査の腎臓の値が上昇します。尿路結石が原因で慢性腎臓病を発症することもあります。どちらの病気なのかをはっきりさせるためにも、尿検査は必須です。※11
自宅で尿を取って持って行くだけで検査ができます。便に関しても、胃腸疾患や誤飲の有無、感染症や寄生虫の有無などを確認できます。※12
初めての健康診断!猫を連れて行くときの注意点
健康診断を初めて受診する際は、以下の内容に注意をしてください。
猫を連れて移動する際は頑丈なキャリーケースに入れて
猫は体が柔らかく運動能力が高い動物です。
油断から逃走させてしまったら後悔してもしきれません。猫を連れて移動する際は、丈夫で猫の体格に合ったキャリーケースに入れましょう。
絶食や飲水、薬について
猫の健康診断の内容が、身体検査や血液検査だけだったとしても、12時間の絶食が基本です。水は飲んでも構わない検査が多いのですが、全身麻酔が必要な内視鏡検査などがある場合は、水も不可です。獣医師によく確認をしてください。
薬を服薬させている場合も、事前に獣医師に確認が必要です。※13
どこで猫に健康診断を受けさせれば良いの?
猫の健康診断は、動物病院で受けられます。
後日検査結果を聞きに行く必要があるため、まずは通える範囲の病院にすることが大切です。何か病気が見つかったときにも通えることを重視しましょう。
まとめ
- 猫に健康診断は必要
- 一般的な猫の健康診断費用相場は16,000円~、シニア以降は22,000円~
- 猫をお迎えしたら、すぐに健康診断を受診しましょう
- 1歳~7歳の猫は年1回、それ以上の年齢の猫は半年に1回が最適な健康診断の頻度
よくあるご質問
-
Q
猫の健康診断で受けた方が良い項目はありますか?
A問診・身体検査・血液検査の他に尿検査を受けましょう。猫は泌尿器に問題を抱えることが多いためです。※11
-
Q
キャリーバッグは何でも良いですか?
A丈夫で猫の体格に合ったキャリーケースを選びましょう。
-
Q
仔猫の健康診断って成猫と同じですか?
A仔猫の場合は、感染症検査・寄生虫検査も行います。身体検査では、成長具合の確認もするため、受診をおすすめします。※8
-
Q
どうしても他の動物が苦手で病院に行けません。どうすれば良いですか?
A動物病院の中には待合室を個室にしているところもあります。猫専門の動物病院もあるので、通える範囲で調べてみてください。
※1■犬と猫の定期健康診断受診率は増加が続く Team HOPE(閲覧日:2024/5/27)
https://buneido-shuppan.com/jvmnews/article/jvm20230228-002(2023/2/28)
※2:猫のX線検査(レントゲン検査)【獣医師解説】(閲覧日:2024/5/27)
https://nyanpedia.com/xray-examination/(2023/12/27)
※3:猫の石灰沈着症~肉球がカチカチ・ガザガザになったら要注意!(閲覧日:2024/5/27)
https://www.konekono-heya.com/news/2022/october/7.html(2022/10/7)
※4:犬や猫の超音波検査(エコー検査)とは?その方法や費用、わかることとは?
https://anicure-petclinic.com/articles/2s6tehaqq
※5
予防・健康診断 | ピジョン動物愛護病院(閲覧日:2024/5/27)
https://pigeon-ah.com/cure/health-check/
予防医療のご相談は品川区、大田区エリアの猫専門の動物病院「猫の診療室モモ」(閲覧日:2024/5/27)
https://momoneco.com/prevention/
健康診断プログラム | 浦和の動物病院|ねこのクリニック浦和(閲覧日:2024/5/27)
https://nekono-clinic-urawa.com/program/
※6:ペット保険では検査費用でも補償を受けられる?【保険市場】(閲覧日:2024/5/27)
https://www.hokende.com/damage-insurance/pet/basic_info/inspection
※7:猫から人にうつる病気(閲覧日:2024/5/27)
https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/eiseiyakuji/dobutsuaigo/1003146/1003138/1050587.html(2023/2/1)
※8:初めて子猫を飼う方へ(閲覧日:2024/5/27)
https://nagoyamirai.jp/kitten
※9:「まだ大丈夫」は誤解かも 高齢犬・猫には年2回の健康診断を(閲覧日:2024/5/27)
https://sippo.asahi.com/article/12777155(2019/10/11)
※10:知っておきたい!猫の健康診断|犬・猫の健康診断を推進|Team HOPE(閲覧日:2024/5/27)
https://teamhope-f.jp/healthexam/cat.html
※11:ネコちゃんの検査について(閲覧日:2024/5/27)
https://www.chiyoda-ah.com/cat-inspection
※12:糞便検査って何を調べるの?どういうときに行うの?その方法や分かる病気は?(閲覧日:2024/5/27)
https://anicure-petclinic.com/articles/too9v1v9i(2022/4/19)
※13:健康診断 | こうじば動物病院(閲覧日:2024/5/27)
http://koujiba.g.dgdg.jp/?page_id=63
※1当社運営ペット葬儀サービスに対するお客様アンケート:詳細はこちら ※2 弊社運営ペット葬儀サービス全体のお問い合わせ件数
この記事の執筆者
竹田 恵氏
ペットシッター士
ライター
竹田 恵氏
ペットシッター士
ライター
2017年よりライターとして活動中。子供の頃から動物好きで、猫、ハムスター、うさぎの飼育経験あり。現在はシーズー犬と一緒に暮らしている。犬は他の動物と比べて人間と密な生活になるため、ペット関係の資格を取得した。
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