ペットの介護
2022年01月06日

強制給餌は必要?強制給餌の目的と方法~悩んだら獣医師へ相談を

強制給餌とは、フードや水、薬を自発的に摂取しないペットに対し、シリンジや飼い主の指などを利用して強制的に与えることです。この記事では、強制給餌が必要になったペットを飼っている方に向けて、強制給餌の目的と方法、必要性、注意点などを解説します。

この記事の監修者

増田 国充 氏

獣医師、防災士、2001年北里大学卒 2007年ますだ動物クリニック開院。診療に東洋医療科を加え、鍼灸や漢方による専門外来を実施。運動器疾患に対して鍼灸による治療を積極的に取り入れ、県内外から症例に対応する。また、鍼灸・漢方等で国内外で講演を実施。動物看護系専門学校非常勤講師兼任。
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強制給餌とは

強制給餌とは、フードや水、薬を自発的に摂取しないペットに対し、シリンジや飼い主の指などを利用して強制的に与えることをいいます。

自発的にフードなどを摂取しなくなった理由については、病気(怪我)や加齢などさまざまな理由があるでしょう。

しかし、強制給餌の目的は全てにおいて一緒です。まずは、強制給餌の目的と必要性について考えていきます。

強制給餌の目的・必要性

強制給餌を行うことでフード・薬・水をペットに与えることができます。
そのため、強制給餌全体の主な目的は栄養摂取と、病気の治療・予防です。
強制給餌を行わなければ命にかかわることもあります。

次からは強制給餌の内容別に目的と必要性を考えていきましょう。

フードを与える

フードを与える強制給餌の目的は、主に体力を戻すことです。
病気のペットは、フードを食べないと体力が回復せず、いくら治療をしても治りません。
このようなときに短期間強制給餌を行い、体力回復を図ります。

そして、年老いて寝たきりになったペットに対しては、栄養摂取の目的で強制給餌を行います。この場合においての強制給餌は主治医と飼い主様次第です。

また、ウサギや猫は数日絶食によって肝リピドーシス(脂肪肝)になりやすい動物といわれています、肝リピドーシス(脂肪肝)は死亡率が低くない病気です。
これは薬だけでは治りません。強制給餌をしなければ命の危機になります、命をつなぐために短期間の強制給餌を施します。この場合は、迷っている暇はないでしょう。

ちなみに、動物病院で行う点滴(皮下補液)には、生きていくために必要な栄養素が入っているわけではありません。この点滴には水分や電解質(塩分)のほかにビタミンを添加することがあり、主に脱水症状の改善に使います。

この点滴に高濃度の栄養剤などを入れてしまうと、皮下の壊死や感染が発生してしまいます。

そのため、病気や寝たきりのペットに体力をつけてもらうには、強制給餌が一番良い方法といえるのです。
もちろん、嫌がるペットに強制給餌をすることは心が痛みます。しかし、食べないまま放置することはデメリットが多く、愛するペットとの別れにつながります。

飼い主様や主治医の判断にゆだねられることもありますが、強制給餌は命をつなぐ「一時的な治療法」のひとつとして考えると良いでしょう。(※1)

薬を与える

強制給餌で薬を与える目的は治療です。
特に液体の薬はどんなペットにも与えにくく、シリンジがあると楽に飲ませることができます。

筆者の愛犬が血小板減少性紫斑病にかかったおり、薬で胃を痛めないように液体の胃薬を与える必要がありました。この胃薬が大量で、人間でも大変だろうと感じました。そのまま与えると、当然嫌がりました。

先生に相談しても、「そのままできますよ」としかいわれず、工夫をしても上手くできませんでした。
今思えば、シリンジであげればもっと楽だったろうにと、後悔をしています。

楽なのは人間ではなく、犬の方です。液体のお薬を無理に飲ませると薬液が気道に入りやすいことから誤嚥につながり大変危険です。結果として与えることができず、錠剤にしてもらいましたが、胃薬なので液体の方が効くということでした。

病気の内容によっては液体の薬しかないことも考えられます。
そのようなときは、シリンジを利用した方が良いでしょう。

そして、錠剤の薬のときは投薬器か、シリンジの先を切ったものがおすすめです。作り方は「目的別シリンジの選び方」で説明しています。
嫌がるペットに手を噛まれる危険があるときはこれを使うことをおすすめします。

水を与える

強制給餌の中でも水を与える際は、強制給水と呼ばれます。

人間もそうですが、本来の給水は喉が渇く前に行うのが理想的です。
しかし、ペットは喉が渇かないと水を飲まないので、脱水になることもあり得ます。

そのため、強制給水は病気の予防で行うことが多いといえます。

例えば、水を飲んでも全て嘔吐してしまうときや、急性の腎臓病、心臓病(肺水腫など)、熱中症などの場合にも有効です。

そして、病気ではなくても水を飲まず、排尿しなくなったペットにも行うときがあります。

例えば、水の容器を気に入らず飲まなくなった猫の場合などです。猫はこだわりが強く、容器の底に舌がつくのを嫌ったり、いつもと違う容器を嫌ったりします。この場合は、健康でも強制給水が必要になることがあります。(※2)

もちろん、ウェットフードやふやかしたフードで給水してくれることが一番です。しかし、これでは足りないことが多々あるため、そのようなときに強制給水を行います。
水分補給に関しては静脈点滴あるいは動物では皮下補液を行うことが効率的といえます。また嘔吐や呼吸器などに問題があり経口で投与を行うことに問題が生じる場合は、経口摂取以外の方法を選択する場合があり、その是非は獣医師の判断にゆだねる必要があります。

強制給餌に悩んだら動物病院で相談を

年老いたペットが水や食事を摂らなくなったとき、強制給餌を行うには主治医や飼い主様の考えに左右されます。

嫌がる子に無理やり食べさせることに罪悪感に苛まれることもあるでしょう。
それでも食べさせなければ死んでしまうから、葛藤の中で強制給餌を行うという飼い主様もいるはずです。

強制給餌をすることがつらくなったらひとりで抱えず、主治医と相談しましょう。

監修者コメント
増田 国充
ますだ動物クリニック院長/ 獣医師

点滴から栄養を投与することは理論上可能ですが、やはり口から食物で栄養を摂ることは肝リピドーシスの予防あるいは進行抑制の目的からも重要な方法です。食物が呼吸器に入って誤嚥を招くことはできるだけ避けるべきなのですが、流動食を上手に与えることは想像以上に難しいと感じることがあるかもしれません。動物病院で、流動食を食べさせるお手伝いができますので、ご家庭で強制給餌がどうしても困難な場合はまずご相談してみましょう。条件に適して提案が得られることが期待できます。

強制給餌の方法

ここからは強制給餌の方法について記載していきます。シリンジを使うことを前提に記載しますが、強制給餌は手でも可能です。それぞれのやり方の注意点をまとめました。

  • 犬の口を開けて、上あごにフードを擦りつける方法……1回につき人差し指にのる程度の量にする
  • 団子状にしたフードを口の中に入れる方法……一度で飲み込める量が多いペットに有効
  • 上記2つがうまくいかない場合……頬の内側にフードを入れるか、歯に擦りつける

このような方法がとれないときは、シリンジを使ってみてください。

目的別シリンジの選び方

シリンジとは、注射器の針がついていない部分のことで、動物病院で購入できます。
ただし、シリンジはペットの強制給餌のために作られたものではありません。

そのため、物によって使い勝手が違います。
基本的にはペットの犬歯や奥歯の隙間にシリンジを入れて給餌をするので、先が細くて長い方が扱いやすいでしょう。具体的に確認していきます。

シリンジで水をあげる際は、慣れないうちは1mlなど、少量で長細いタイプがおすすめです。一度にあげすぎてしまうことが避けられ、感覚をつかむには最適です。
それでも不安があるときや、ペットが嫌がって危ないと感じる際は、シリコンつきのシリンジが良いでしょう。

慣れてきたら、先端が長めのものという条件がつきますが、効率を考えて2.5mlくらいの大きさにして構いません。大型犬などの場合は、はちみつの空容器も便利です。

そして、ウサギなど、口が小さいペットのときは、先端が小さいものを選びましょう。
犬や猫などは、どんなタイプのシリンジでも大丈夫ですが、デンタルケア用の先が曲がったシリンジだと、より犬歯の隙間に入れやすいので、試してみてください。(※3)

フードを与える際は、ペースト状のフードを使用することが多く、特にウサギの餌は、シリンジの先からフードが出てきません。
その時は、シリンジの胴体部分を中ほどで切ってフードが出やすくするなど加工することをおすすめします。

シリンジの中身を用意する

シリンジでフードを与える際、高栄養のウェットフードタイプならそのまま入れられますが、ドライフードを利用する際は、フードプロセッサーなどで粒の残らない滑らかなペースト状にしましょう。

そうすれば、シリンジの中で詰まってしまうことも、ある程度は防げます。

強制給餌を行うときはペットを抑える「保定」が必要

ペットたちは強制給餌を嫌がります。

ただし、強制給餌をしなければ命にかかわります。
まずは「大丈夫だよ」と声をかけ、なでてあげつつさりげなく口元に触るなどして落ち着かせましょう。

その次に保定に入ります。保定とは、強制給餌はもちろん、動物病院で治療を受けるときや薬をあげるときなどに、ペットを動かないように抱いておくことをいいます。

保定の方法は様々です。ペットの大きさと飼い主様の体格により合う方法が違うため、主治医に相談しペットにあった保定の方法を教えてもらってください。
くれぐれも強く締めつけることを避け、ペットの身体を飼い主様の身体に密着させ、うまく自由を奪える位置を探りましょう。

ペットが健康な頃から保定に慣れておけば、予防接種の際や採血の際にも便利です。
そして、顔や口に触らせてくれる子に育てるためには、遊びの中でたくさん触ってあげると良いでしょう。

ペットはあおむけにすると落ち着きますがあおむけで強制給餌をすると、気管支や肺に詰まることがありとても危険です。絶対にやめましょう。

では、猫・犬・ウサギの保定方法について確認していきます。(※4)

台の上に載せ、座らせます。
飼い主様は猫の後ろに立ち身体に密着させ、シリンジを持たない手で上から頬骨を持ち、首を振らせないようにします。

どうしても動いてしまう猫の場合は、大きめの毛布やタオルを台の上に広げて用意し、真ん中に猫を座らせましょう。猫の前にあるタオルの両角を背中にまわすようにして首元をキュッと包んで挟みます。

このとき、隙間がなければ動きませんが、締めすぎないように注意をしてください。

次に、残っているタオルを猫の身体側に巻きつけますが、首元を抑えている手は離さないようにします。

猫は包まれることで安心するので、この方法で動かなくなります。
タオルや毛布では難しいというときは、保定袋を買うのも良いでしょう。

高すぎない台の上でおすわりをさせ、飼い主様が後ろから腕の間に犬を入れ、脇を締めて保定します。シリンジを持たない手はあごを持ちつつ、口を開けさせます。

抵抗する犬の場合は、床で行います。
膝をついて座り、足の間に犬を入れて保定すれば、逃げ場がないのでおとなしくなります。

チワワなどの小型犬の場合は、後述するウサギの保定のように床に座って割座をしても良いでしょう。

ウサギ

膝や台に載せるだけでじっとできる子はそのままで構いませんが、じっとできない子は、タオルで身体を包んであげると良いでしょう。

ウサギを保定する際は、台上・膝上・床の3パターンから選べます。
タオルで包んでも暴れる子や、危険がある場合は床で行うのがベストです。ただし、床でやる方法は、誰でもできる座り方ではありません。

割座と呼ばれる座り方で、正座の状態から両すねを開き、尻を床につけた姿勢を使います。
足の間にウサギを入れて保定をします。

台上で行う場合は、ウサギのお尻を人間の腹につけ、両腕の脇を締めてウサギの両側面を挟み、シリンジを持たない手でウサギの頭を保定します。

椅子で行うときは、膝の間にウサギを挟んで手を添え、保定をします。椅子の高さや足の角度によって保定のしやすさが変わるため、試してみてください。(※3)

ウサギ・モルモット・ハムスターなど小動物への強制給餌の必要性

強制給餌を調べてみると、犬や猫が多く出てきます。
しかし、ウサギやモルモット、ハムスターなどの小動物にこそ、強制給餌が必要です。

特にウサギは前述したように、食事を抜くと1日で脂肪肝になり、3~4日でいつ亡くなってもおかしくない状態に陥ります。

モルモットやハムスターなどの小動物は身体が小さい分、どんな病気になっても強制給餌が生死をわけるので早めに行うことが大切です。
ただし、身体が小さいペットへの強制給餌は力加減が難しく、骨折や脊髄損傷などの大けがにつながることがあります。少しでも難しいと感じたら、動物病院に相談しましょう。(※5)

まとめ
  • 強制給餌とは、フードや水、薬を自発的に摂取しないペットに対し、シリンジや飼い主の指などを利用して強制的に与えることをいう
  • 強制給餌全体の主な目的は栄養摂取と、病気の治療・予防であり、一時的な治療法のひとつでもある
  • 強制給餌はフード・水・薬を与えることができる
  • シリンジは用途により変更する
  • 保定の方法は決まりがないため、飼い主とペットの体格に合う方法で行う
  • シリンジは犬歯や奥歯の隙間から入れる
  • ウサギやモルモット、ハムスターなどの小動物にこそ、強制給餌が必要
監修者コメント
増田 国充
ますだ動物クリニック院長/ 獣医師

そもそも食欲がない子たちになんとかして食餌を摂ってもらうのは時として困難を招きます。注射器を使って流動食を口元に入れていっても、そこからのどを通って飲み込もうとしないことが非常に多くみられます。誤嚥に気を配りながら食べ物や液体を与える際に、その子のペースに合わせることに注目してみましょう。どうしても焦りが生じやすくなりますが、時間をかけてゆっくり、少しでも良いので無理なく「ごっくん」ができるように愛情込めて与えていただくのがコツの一つです。

参考文献

※1:猫に強制給餌をする正しい2つの方法
https://nekochan.jp/training/article/2011
※2:Dr.小宮山の猫と水との関係における統合獣医療
https://www.pet-hospital.org/manyu-insui_cat.html
※3:うさぎSOS! 強制給餌・補水の仕方
https://wooly.co.jp/topics/kyuji/kyuji-index.html
※4:イヌの保定について
http://www.vets.ne.jp/faq/pc/hotei_dog.html
※5:ウサギ・モルモット・ハムスターの強制給餌について
http://www.odagawa.net/blog/2018/04/entry-263-10393.html

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この記事のライター

竹田 恵

ペットシッター士
ライター

2017年よりライターとして活動中。子供の頃から動物好きで、猫、ハムスター、うさぎの飼育経験あり。現在はシーズー犬と一緒に暮らしている。犬は他の動物と比べて人間と密な生活になるため、ペット関係の資格を取得した。
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