2022.03.08
2023.09.11
猫の認知症対策は予兆を見逃さず、適切な対処と治療をすることが重要
猫の認知症は、事故などが原因でない限り、予兆があります。まずはそれを知り、早く気付くことが大切です。そして、獣医師に相談し、その子の症状に合った治療と対策をすることが、認知症とうまく付き合うための第一歩です。猫の認知症について詳しくまとめました。
うちの猫って認知症?予兆と症状について
認知症は進行性の病気です。
重度になると脳が萎縮してしまうため治すことができませんが、軽度ならサプリメント治療で症状が改善することもあります。(※1)
そのため、軽度の状態で気づき、治療することが大切なのですが、猫の認知症はなかなか気づきにくいかもしれません。
猫の認知症を見逃さないためには、「いつもと違うな」と思ったら「歳かしら」と片づけずにすぐに獣医師に相談することが大切です。
猫の認知症には予兆がある
猫の認知症には予兆があります。
ただし、これらの予兆は加齢が原因と考える事もあります。しかし、少しでもいつもと違うと感じたら、認知症を含めた病気を疑いましょう。
具体的には以下のような症状が予兆であり、軽度の認知症の症状です。
- ウロウロすることが多くなる
- たまに排せつを失敗する
- 名前を呼んだときの反応が鈍くなった
- 日常の動作が少し遅くなった
ただし、これらの症状は他の病気でも同じ状態になることがありますし、老化による筋肉の低下などが原因となっていることもあります。(※2)
これだけで判断せず、異変を感じたら獣医師の診察を受けてください。
猫の認知症の症状
猫の認知症が進んでくると、予兆の症状に加えて、以下のような症状も出て来ます。
ただし、必ずしもこれらの症状が現れるわけではありません。
当識障害
家の中で迷う
家族などよく知る人のことがわからなくなる
つまずく、ぶつかる
ドアの前で立ちすくむ、兆番側に向かう
後退ができず、いき詰まって頭を小突き続ける
障害物を避けられない
こぼした餌を見つけられない
何もない場所をじっと見つめる(壁の前でぼんやり立ち尽くす)
社会的相互作用(接し方)の変化
挨拶行動の低下
甘えなくなる
おもちゃやなでられることへの興味の低下
飼い主様や一緒に飼っている他のペットなどに対し、いつもと違った対応をする
(つきまとい・攻撃性・無関心)
騒音や人、ある場所に対して恐怖心を抱く
睡眠覚醒周期も変化
不眠・過眠
夜中の目的がない徘徊
昼夜逆転
トイレの粗相
トイレ以外での排せつ
失禁
トイレを探すようになる
活動の変化
うろつき
よく鳴く
食欲の異常(過食・食欲不振)
同じ場所を舐め続ける、噛み続けるなどの自傷行為
同じ方向にぐるぐるまわる(旋回運動)
※3
そもそも認知症って何?考えられる原因について
認知症は、老化性の脳障害と言え、その原因は今のところ大きく分けて2つに分類されます。
脳の萎縮
脳の萎縮は、神経細胞(ニューロン)が死んでいくことで起こります。
神経細胞(ニューロン)は増えないため、死んでしまうと元の数に戻ることはありません。
そのため、脳が縮んでしまいます。
脳の萎縮は、理性的な行動などの行動性をつかさどる前頭葉や、記憶をつかさどる海馬に影響が出るとされています。
アミロイドの蓄積
アミロイド(Aβ1-40,Aβ1-42など)とは、異常なたんぱく質をさします。
これが細胞内に蓄積され、細胞内に蓄積し、機能障害や細胞死を引き起こします。(※4)
こちらの記事もご覧ください
猫の認知症に疑いを持ったら、獣医師に相談を
「いつもと違うな」と感じ、猫を獣医師の診察の中で認知症の検査や治療を行います。
このとき、猫の状態や問題行動を記録した動画があると診察の一助になるでしょう。
旋回や夜鳴、ぶつかるなど何でも構いません。できるだけ動画を撮影しておきましょう。
そして、自宅で問診票やチェックシートの記入が必要かどうかを事前に確認しておいてください。
認知症による問題行動は、多くの場合ストレスを抱えています。認知症の治療は飼猫のストレスを発見して解消することにつながります。
病気治療のための入院などが難しいこともありますので、できるだけ早めに対応しておくことをおすすめします。
猫の認知症の検査
猫の認知症は、他の病気を除外した上で診断されます。
そのため、認知症の検査は除外診断が主となり、その子の症状に合わせた検査が行われます。
ただし、まずは詳細な病歴の聞き取りと身体検査を行うのはどの子も同じでしょう。
症状によっては血液検査や尿検査だけで診断できるときもあります。
そして、認知症は神経系の病気に似ているため、視覚、聴覚を含んだ神経検査をおこないます。症状によっては脳のMRI(磁気共鳴画像装置)やCT、X線検査が必要になるときもあるでしょう。
もちろん、検査は獣医師と相談の上行われます。
特にMRI(磁気共鳴画像装置)など麻酔が必要な検査は高額でリスクもあります。獣医師とコミュニケーションを取りながら、飼い主様が選択しましょう。(※5)
猫の認知症の治療
認知症の初期なら改善がみられることもありますが、認知症の根治は難しいです。
治療は進行スピードを緩める、現状維持を目的とします。
そのため、まずは現状がどのレベルの認知症なのかを把握することが大切です。
初期ならばサプリメントや抗酸化作用を強化したフードなどで改善することもありますが、それ以外は認知症レベルに応じた医薬品を併用して使います。
例えば、不安が強い(夜鳴がひどい)ときの薬、認知障害が強いときの薬など、状況に応じた対応が可能です。(※1)
猫の認知症に類似した症状の病気
実は、猫の認知症は人間の認知症ほど解明されていません。
診断はより難しいとされています。
猫の認知症の診断は、以下のような病気を除外した上で行います。
- 運動障害、足腰の衰え→関節系の病気
- トイレの失敗→内蔵、泌尿器系の病気
- 食欲の異常→胃腸系やホルモンの病気
- 接し方の変化や運動能力の低下→視覚・聴覚の病気
- 過剰に舐める→皮膚の病気
猫の認知症への対応
診察をおこない認知症レベルが把握できたら、獣医師による治療の他に、飼い主ができることをしましょう。
それは、その子の症状に合わせたもので、ここで記載するのはあくまでも一例です。
徘徊や旋回、前進し続ける猫には
猫の場合リードは使わないと思いますが、徘徊が激しいときなどに利用してしまうと、首やからだにリードがからまり、命の危険にさらされる恐れがあります。
徘徊や旋回がひどいときは、行動範囲を丸く囲ってあげる対策を取ります。
視覚や聴覚に問題が出ている猫には
いきなり触るとより過敏に反応し怖がるときがあります。
触るときはあらかじめ音をだして、音で知らせる合図を出します。
粗相など、トイレに問題が出ている猫には
粗相が増えているならば、トイレを各階に置くなど、トイレの数を増やし、縁の低いトイレに変更しましょう。必要があれば、おむつの利用も考えてください。
排泄を自分でできない猫の場合は、獣医師の指示に従いましょう。(※6)
また、ストレスにさらされると、状態が悪化することがあるため、できるだけストレスの無い生活をさせてあげましょう。
他にも、脳を活性化させるために以下のような対策をすることをおすすめします。
- コミュニケーションの時間を増やす
- 元気に明るく接し、厳しくしからない
- 快適かつ清潔に過ごせる環境を与える
- 適度な運動や日光浴をさせる
- 遊びに変化をつける
- 目を見て話しかけ、名前を呼びながら撫でる
- トイレを増やす・縁が低いトイレを用意する
- トイレをわかりやすく入りやすいようにする
- 家具の配置を変えない
- 床を滑りにくくする
- オメガ3などの脂肪酸が入ったフードを与える
- 健康診断を欠かさない
また、夜鳴をはじめ、夜間の対応に困ったときのために、深夜対応をしている獣医師を探しておくことをおすすめします。(※1)
猫の心のケアは必須
認知症になっても心は正常です。
厳しくしかるとストレスを与えてしまうので、より悪化することもあります。
認知症になったからと言って「何をしてもわからない」わけではありません。
できるだけ「見つめる」「話しかける」「触れる」「寝たきりにしない」の4つを心掛け、今まで通りのコミュニケーションをしましょう。
猫の認知症のためにできること
猫の認知症は特別なことではありません。
完治はできなくても対応することはできるので、獣医師とよく相談をして、その子にあった対策をすることが何よりも大切です。
そして、それには飼い主様側も忍耐と寛容が必須です。
疲れたり困ったりしたら獣医師をはじめ、動物介護士や老猫に対応できるペットシッター、老猫ホームなどを頼ってください。
猫の認知症は予防が大切
猫の認知症を予防するには、オメガ3脂肪酸や中鎖脂肪酸などを積極的に摂ることと、遊んだり話しかけたりすることが有効とされています。
DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3脂肪酸
認知症の原因になるアミロイドの蓄積に対する効果が期待できます。シニア用フードに入っているものもありますし、サプリメントで補充することも可能です。
中鎖脂肪酸
ケトン生成という脳のエネルギー源を通じ、認知症の症状緩和効果に期待できます。
また、認知機能の低下は、認知症以外にもてんかんや脳腫瘍を原因とするときもあります。
おかしいと感じたら獣医師の診察を受け、適切な治療を施してください。
まとめ
- 「いつもと違うな」と思ったらすぐに獣医師に相談する
- 動物病院に連れていくときは、事前に電話連絡をし、猫の状態や問題行動を記録した動画を持参するとよい
- 認知症は獣医師による治療と、飼い主側のケアの両方から治療する
- 飼い主は忍耐と寛容が必須なので、疲れたり困ったりしたら獣医師をはじめとした専門家を頼ること
- 認知症予防にはオメガ3などの脂肪酸類を摂ることと、猫とのコミュニケーションをとることが有効
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※1
認知症③ 丹沢の森どうぶつ病院
http://tanzawa-vet.com/2020/03/05/%e8%aa%8d%e7%9f%a5%e7%97%87%e2%91%a2/
サプリメント | 兵庫県川西市ミネルバ動物病院
http://minerva-ah.net/blog/%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88/
※2:犬猫の認知症/三鷹獣医科グループ
https://www.pet-hospital.org/manyu-ninchi.html
※3
認知症における5種類の行動変化
http://www.ac-animalhospital.com/wordpress/archives/2548
高齢動物の問題行動を相談されたとき
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/28/3/28_82/_pdf
※4:認知症① 丹沢の森どうぶつ病院
http://tanzawa-vet.com/2020/01/06/%e8%aa%8d%e7%9f%a5%e7%97%87%e2%91%a0/
※5:うちの猫もひょっとして認知症!?高齢猫の行動が心配なときの対応!
https://pet-tabi.jp/weblog/rouneko-ninchisyou/
※6:高齢猫の尿失禁やトイレの失敗。原因と対策とは
https://www.royalcanin.com/jp/cats/health-and-wellbeing/urinary-incontinence-in-cats
※1当社運営ペット葬儀サービスに対するお客様アンケート:詳細はこちら ※2 弊社運営ペット葬儀サービス全体のお問い合わせ件数
この記事の執筆者
竹田 恵氏
ペットシッター士
ライター
竹田 恵氏
ペットシッター士
ライター
2017年よりライターとして活動中。子供の頃から動物好きで、猫、ハムスター、うさぎの飼育経験あり。現在はシーズー犬と一緒に暮らしている。犬は他の動物と比べて人間と密な生活になるため、ペット関係の資格を取得した。
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