2021.08.11
2023.12.13
猫が動かなくなったとき、死亡確認と蘇生の方法は?
猫が動かなくなってしまったとき、生死の判別はどのようにすればいいのでしょうか?もしかしたら生きているかもしれないと思うと、何をすればいいのかわからなくなってしまうかもしれません。
この記事では、命のサインの見分け方や、蘇生の方法、死亡診断書の発行などについてわかりやすく解説しています。
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この記事の監修者
増田 国充氏
ますだ動物クリニック院長 / 獣医師
増田 国充氏
ますだ動物クリニック院長 / 獣医師
獣医師、防災士、2001年北里大学卒
2007年ますだ動物クリニック開院。診療に東洋医療科を加え、鍼灸や漢方による専門外来を実施。運動器疾患に対して鍼灸による治療を積極的に取り入れ、県内外から症例に対応する。また、鍼灸・漢方等で国内外で講演を実施。動物看護系専門学校非常勤講師兼任。
猫が死んでしまうとき
一般社団法人 ペットフード協会の調査によれば、猫の寿命は15年前後であり、昔に比べて長寿になっているといわれています(※1)。疾患に対する十分な治療が受けられるようになったことや、フードの質がよくなったことが一因だと考えられます。
長い間、人生を共に歩む猫ですが、いつか死んでしまうことは避けようのない事実です。ある日突然、猫が動かなくなってしまったとき、飼い主は何をすればいいのでしょうか?
死亡と仮死の違い
死んでしまったように見える猫には、生命の終わりである「死亡」と、生きているが、何もしなければ命が失われてしまう状態である「仮死」の2つの状態があります。
残念ながら死亡してしまった猫は、すみやかに安置し供養の手筈を整えなければなりませんが、仮死状態であれば蘇生を試みることもできます。
飼い主が死亡と仮死を見分けるためには、いくつか観察すべきポイントがあります。
死後硬直の有無
死後硬直とは、死亡した猫の筋肉が収縮する現象です。命が尽きた動物の身体におこる変化であり、確実に死後硬直している場合は死亡していると判断できます。
猫の身体を触ったとき、肘や膝などの身体の可動部や顎などの筋肉が固まって動かなかったり、お腹がしぼんで固くなっていたりする場合は、死後硬直していると考えられます。
例外として、病的な神経発作や中毒において筋肉が硬直することがありますが、なんらかの生命のサインを同時に発していることがほとんどであり、後の項で説明するバイタルサインをみることで判別できます。
体温と呼吸、脈拍の測り方
生きている動物は、心臓を動かし全身の血液を循環させ、また肺を収縮させることで酸素を交換しています。これらの身体の働きを外見の検査や、触診で数値化したものをバイタルサインと言います。バイタルサインは動物の生命を測るバロメーターといえます。
バイタルサインのうち、体温と呼吸、脈拍は比較的測りやすく、かつ生命活動を直接的に表しています。
体温を測る際には、動かなくなった猫の毛の薄い部分(腹部など)を触ったときに、体温を感じ取れるかを測ります。猫の平熱は37度より高いため、人が素手で触ると暖かく感じるはずです。
呼吸は、腹部の動きを観察します。仮死状態では、正常時に比べ、呼吸数がかなり落ちていることがあります。1分間腹部を観察した際、一度でも動きがある場合は、呼吸をしている可能性があります。
脈拍は、猫のお腹側の後ろ足の付け根に走っている股動脈を触知します。股動脈を触知するためには、皮膚を股関節に触れるくらい強く押さえる必要があり、慣れていないと少し難しいかもしれません。可能であれば、健康なうちに練習をしましょう。
意識と縮瞳の確認
バイタルサインを測っている途中で反応がある、もしくは大声で話しかける、体をつねるなどの強い刺激を与えたときに反応がある場合、仮死状態である可能性があります。
死亡した動物では、黒目にある光の量を調節する「瞳孔」が開いたままになっています。体温、呼吸、脈拍、意識のどのバイタルサインを測っても動きがない場合は、縮瞳(瞳孔が縮小すること)の確認を行います。開いたままの瞳孔がライトを当ててみても縮小しない場合、死亡している可能性は高くなります。
縮瞳の確認は、眼に強い光を当てることで行います。生きている動物に行うと、失明を引き起こすことがあるため、かならず先に他のバイタルサインを測定し、動きがない場合、最後に行うようにしてください。
仮死状態のときすべきこと
死亡確認の結果、仮死状態である、もしくは仮死状態の疑いが高い場合は、躊躇せず蘇生を行いましょう。迅速な蘇生は救命率を上げます。
蘇生を行う前に、しっかりと理解しておいて欲しい点が2つあります。
一点目は、蘇生を行えば100%命を救えるものではないということです。仮死まで身体の状態が悪化した動物では、蘇生率は決して高いとは言えません。
二点目は、蘇生を行うこと、それ自体が身体に負荷をかける行為であり、場合によっては、それが原因となり死亡することすらあり得るということです。蘇生の危険性と、放置した場合確実に死が訪れる仮死状態の危険性を天秤にかけ、蘇生を行うようにしてください。
動物病院への連絡
蘇生を行う前に動物病院へ連絡し、救急搬送の手筈を整えることも非常に重要です。動物病院の診療時間によっては、電話が通じない場合も想定できます。その際は夜間診療を行っている動物病院へと連絡をするようにしてください。
もし、どうしても動物病院へ連絡がつかず、蘇生の指示や救急搬送が行えない場合、家庭で蘇生処置を実施します。
家庭でできる蘇生処置
仮死状態の猫を横向きに寝かせ、前脚のラインより少し後ろ、胴体の真ん中に対し、心臓マッサージを行います。実施者は自分の肘をまっすぐに伸ばし、1分間に100回を目安に心臓の圧迫してください。
人工呼吸の方法は、猫の舌を引き出し、喉の奥に吐しゃ物が詰まっていないかを確認することから始めてください。つぎに首を少しのけぞらせ、猫の鼻に口を当てて息を吹き込みます。上手に人工呼吸ができていると息を吹き込むにつれお腹がふくらみ、やめるとお腹がへこんでいくのがわかります。これは呼吸による肺の膨らみを表しています。
心臓マッサージと人工呼吸は猫が自発的に呼吸し、心拍を取り戻すまで交互に行います。タオルにつつんだ湯たんぽや、ドライヤーの温風を間接的にあてることで体温を維持することも有効です。
最後に、心臓マッサージや人工呼吸は、肋骨の骨折、肺の損傷などの高いリスクを伴う医療行為です。本来は動物病院で実施、もしくはスタッフの指示の下、搬送までの間行うものです。家庭で行う場合、猫を助ける目的で、飼い主が責任を持って実施してください。
猫の仮死状態を判断するのは、率直に申し上げますとなかなか難しいところがあると思います。また、その状態を目の当たりにした場合に必ずしも落ち着いてその様子を観察できないのではないかと想像します。
つまり、適切な状況判断とその対策を冷静に行うために最も重要なのは、かかりつけの動物病院あるいは専門機関に相談あるいは連絡し、その状況に応じた対応の指示を仰ぐことではないかと思います。生存状態であれば、状況の改善を速やかに行うことで救える場合が存在します。かかりつけの動物病院が診療時間外あるいは休診日となっていることもありますので、いざというときは夜間救急対応をしている動物病院に連絡することも重要です。
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死亡確認の結果、猫が死んでいると判断した場合や、救命を行ったが死亡してしまった場合、猫の供養にむけて行動をしなければなりません。
猫が死んでしまった直後には、現実を受け入れがたいこともあります。猫と過ごした時間や、猫を助けようとして行った処置はすべて、あなたの深い愛情を表しています。後悔のないペットとの別れはありませんし、誰もが最良の飼い主にはなれません。ですが、最善を尽くそうとしたあなたは、猫にとってかけがえのない飼い主であったでしょう。
まとめ
- 猫が動かなくなったときは、「死亡」または「仮死」状態の可能性がある
- 死亡と仮死を判別するために、死後硬直やバイタルサインを確認する
- 死亡の場合、安置や葬儀を行う
- 仮死の場合、動物病院への連絡や蘇生を行う
- 猫の公的な死亡確認の書類である死亡診断書は、動物病院で獣医師が発行する
猫の寿命はここ四半世紀で大いに延びたように感じます。高齢になると慢性腎臓病になる猫が非常に多くなります。腎臓病が進行すると、尿として排泄されるべき老廃物が体内にとどまり、尿毒症に至ることがあります。これが神経に作用してけいれんを起こすことがあります。なかには硬直のようなひきつけを起こすことがあります。本文の仮死状態のように見えることがあります。また、てんかんのような神経の疾患に由来する仮死状態に見えるものもあります。
判断が難しい点が多いため、持病がある場合や心配な場合はかかりつけの獣医師に相談しておくことが望ましいでしょう。
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※1:一般社団法人 ペットフード協会 2020年(令和2年)全国犬猫飼育実態調査 結果
https://petfood.or.jp/topics/img/201223.pdf(参照2021-8-11)
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この記事の執筆者
若林 薫氏
獣医師
ライター
若林 薫氏
獣医師
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麻布大学を卒業し獣医師免許を取得、大手ペットショップで子犬・子猫の管理獣医師として勤める。その後、製薬企業での研究開発関連業務を経て、ライターとして活動する。幅広い専門知識を生かした記事作成を得意とする。
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