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ペットと生活

2024.06.05

犬に健康診断って必要?項目や費用、何歳から受けるかなど詳しく解説

犬の健康診断は必要です。健康診断を受けることで病気の早期発見はもちろん犬の飼い方についても理解を深めることができます。健康診断の項目や何歳から受けるべきかなどの概要、健康診断の頻度、健康診断で異常が見つかった場合の対応などを詳しく解説します。

ポイント

犬の健康診断の目的は、病気の早期発見はもちろんですが、それに加えて獣医師とのコミュニケーションも重要です。
例えば、飼い主が食べ物に関して誤解している場合、それは犬の健康に直結します。こうした誤解を防ぐことも、健康診断の目的と言えるでしょう。
検査を詳細に行うほど費用や時間がかかりますが、これは飼い主が愛犬のためにできることの一つです。
年齢に応じて適切な対応をしながら、健康診断を利用して愛犬の健康を維持できるようにしましょう。

犬の健康診断は必要?目的や必要性に関して

獣医師・動物看護師らで構成される一般社団法人 Team HOPEによる2023年の調査では、7歳以上の犬の40%、7歳未満の犬の15%に健康診断で病気・異常が見つかっています。
データが示す通り健康診断は若い犬にも重要です。※1

また、獣医師は適切な食事についても教えてくれるため、犬を迎えたらできるだけ早く獣医師を訪ねましょう。
定期的に健康診断を受診させ、早期発見ができれば結果的に治療費も安く済みます。健康で長生きをできる環境を作ってあげましょう。

犬の健康診断はどんな項目があるの?

犬の健康診断の項目は、動物病院のプランや犬の年齢、既往歴などにより変わります。
ここでは主だった項目について解説をします。

問診

問診は犬の様子を飼い主に質問します。
何を食べているか、食欲はあるか、水を飲んでいるか、便の状態、問題行動はないかなど、飼い主にしかわからない内容を質問するので、犬の様子をよく観察しておいてください。
質問事項があれば、このタイミングで獣医師に相談をしましょう。

身体検査

触診・視診・聴診・体重測定が主な内容で、直接犬の体の状態を確認します。

血液検査

血液検査は人間の健康診断と同じく、赤血球や白血球、血小板などの確認から、コレステロールや甲状腺ホルモンの値などさまざまなものがわかります。

これにより貧血や感染症、炎症、血小板減少症、脂質異常症、肝臓病、ホルモン異常などの病気の有無がわかります。

尿・便の検査

尿・便検査は、多くのことを調べることができる検査です。

尿や便でわかることは多く、糖尿病や結石症、腎臓病、寄生虫、血尿や血便の有無の確認ができます。誤食や消化不良、細菌バランスもチェックします。

レントゲン

レントゲンはプランによってはオプションになりますが、含めるべき検査です。
心臓や肝臓の大きさや形だけではなく、骨格異常や結石、腫瘍、石灰化、関節や骨の状態を把握します。ダックスフントなど椎間板ヘルニアになりやすい犬種やシニア犬は特に、受けた方が良いでしょう。※2

腹部エコー検査

腹部エコー検査もプランによってはオプションになりますが、内蔵や神経の状態を把握できる検査です。
血液検査では見つからない異常や病気について調べることができます。

犬の健康診断に必要な時間・費用について

次に、犬の健康診断にかかる時間と費用を確認しましょう。

時間

犬の健康診断にかかる時間は、動物病院やプランにより変わります。
問診と身体検査、血液検査だけなら20分ほどで終わります。血液検査の結果をその場で聞きたい場合は全部で1時間程度は見ておきましょう。
ただし、すべての項目がすぐにわかるわけではありません。健康診断の項目によっては病院での血液検査に加えて、外部機関による検査も行うので、だいたい1~2週間後に結果がわかります。

追加でレントゲンや腹部エコー検査を入れると、更に1時間程度かかります。動物病院によっては午前中に来院し、半日預かりとなるケースもあるので、予約前に確認をしてください。※3

費用

犬の健康診断の費用はプランや動物病院によって変わりますが、だいたい11,000円~です。※4

犬の健康診断は何歳から受ければ良いの?頻度は?

犬を迎えたら健康診断を受けるのが理想的です。先天性疾患や感染症などを早期に確認することで防げる病気があります。※5
また、犬を保護して飼う際は、できるだけ早く健康診断を受けてください。
犬の感染症やケガはもちろんですが、犬と人間に共通した感染症のリスクも通常の犬よりも高いためです。犬には無症状でも、人間は重症化すると命にかかわる病気もあります。
安心して飼うためにも早めの受診が重要です。※6

仔犬

仔犬をお迎えしたらまず、環境に慣れさせてください。
ただし、不慣れな間は体調を崩しやすいうえ、母親からのミルクを飲まなくなると感染症にもかかりやすくなるため、下痢や嘔吐などの症状が現れたらすぐに獣医師に相談してください。

仔犬が少しでも環境に慣れてきたら、キャリーバッグに入れる練習をして、健康診断を受けましょう。
先天性疾患や寄生虫、誤飲、脱臼、かゆみの有無や各種予防、混合ワクチンの接種などについて相談できます。

初回健康診断を受けたら1カ月後に再度受診をしてください。
成長具合を確認し、必要な栄養についてアドバイスを受けることができます。混合ワクチンの追加接種やノミ・ダニ・フェラリアの予防も可能です。
乳歯が抜けて永久歯に変わり始めた頃は、口腔ケアを開始することが重要です。
永久歯が奇形に生えることや、乳歯が抜けきらないこともあるため、健康診断を受けることが重要です。歯の異常は飼い主にはわかりにくく、結果として食事が困難になることがあります。
また、避妊去勢手術の検討もしましょう。※7

成犬

1~6歳までは、年に1回の頻度で健康診断を受けることをおすすめします。
仔犬やシニア犬に比べてリスクは低いものの、ゼロではありません。

シニア犬以降

シニア犬になったら年2回の健康診断を受けることをおすすめします。
骨や筋肉、内臓の衰えが出始め、目や耳にも症状が出ることがあります。
何となく元気がないと感じたら、それが重大な病気の兆候かもしれません。
病気と加齢による変化を見極めるのは難しい場合があり、定期的な健康診断が不可欠です。※8

今まで健康診断をしなかったけど、いきなりはじめても良い?

ペットを迎える際に健康診断を受けていない場合は、できるだけ早く初回の健康診断を受けてください。
ただし、健康診断は多くの病院で予約が必要です。突然獣医師を訪ねるのではなく、まずは予約をしましょう。

初めての犬の健康診断!事前準備や知っておくべきこととは?

犬の健康診断時に血液検査を行う場合、通常12時間の絶食が必要です。これは、食事によって尿素窒素・中性脂肪・血糖値などが変動するためです。ただし、仔犬や重大な疾患を持つ犬は例外です。絶食によって体調が悪化する可能性があるため、服薬が必要な場合は必ず獣医師の指示を受けてください。※9
飲水については、ほとんどの場合問題ありませんが、一部の動物病院では水を飲まないように指示されることもあります。※10
心配な場合は、獣医師に確認してください。

また、病気によっては血液検査だけではわからないこともあります。これをカバーするのが、腹部エコー検査やレントゲン検査です。
例えば、脾臓は血液検査では異常を感知できない臓器ですが、腹部エコー検査では脾臓の状態を直接確認できます。
腫瘍も血液検査だけで発見できるものではなく、腹部エコー検査やレントゲン検査で見つかることもあります。※11
特にシニア以降は、さまざまな病気のリスクが上がるため、健康診断にレントゲンや腹部エコー検査、尿・便検査を付けておくことをおすすめします。※12

犬の健康診断はどこで受ければ良いの?

人間の病院と同じく動物病院にも様々な種類があります。
健康診断は基本的にはかかりつけの獣医師を頼ってください。かかりつけ医に受けたい検査がない場合は、他の病院を探すと良いでしょう。

一般的な動物病院:かかりつけ医

健康診断は一般的な動物病院で充分に行うことができます。
通院可能な範囲内でかかりつけ医を持つことが重要ですので、健康な状態や数値を獣医師に共有しておくことが大切です。

検査病院:検査しか行わない病院

検査病院はかかりつけ医が病気を発見し、MRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピュータ断層診断装置)などの高度な検査が必要だと判断した場合のみ訪れる病院です。こうした病院では健康診断を行っているケースはほとんどありません。※13

救急病院:24時間体制で急なケガや病気に対応

動物病院の中には救急対応も行う救急病院があります。
24時間体制で対応しているため、夜間や休日に何かあった際に助けを求めることができます。
また、こうした病院の中には一般診療を行うところもあり、健康診断が可能です。
さらに、大きい病院なら、各診療科の専門医による診断を受けることができます。※14

二次診療病院:各専門医による高度な治療が可能

二次診療病院はより高度な医療を提供するため、かかりつけ医の紹介が必要です。基本的に健康診断は不可能です。※15

シニア専門の動物病院

動物病院の中にはシニア専門の施設や、シニアケアを提供する科を設けているところもあります。※16
高齢の犬は病院への通院が負担になることが多いので、健康診断を受ける際にはこうした病院を選ぶことをおすすめします。
ただし、中には東洋医学や緩和ケア、介護医療を専門とする施設もありますので、健康診断を受けたい場合には、
その病院が対応しているかどうかを必ず確認してください。

犬の健康診断を行った後の注意点

健康診断を受けた後はどうすれば良いのでしょうか。
採血をした箇所は消毒と止血をしてもらえますが、念のため帰宅後も血が止まっているかどうかを確認してください。
トリミングやシャンプーは中止し、できるだけゆっくりさせることが大切です。
散歩はしても大丈夫ですが、足から採血するため、汚れには注意をしてください。

そして、健康診断の書類は大切に保管してください。
異常が見つからなかった場合、それは健康な状態を把握する貴重な資料となります。
病気が見つかった場合、次の治療法や手術などを検討する際に役立ちます。
引っ越しや獣医師との相性などの理由で動物病院を変更したい場合、その際には新しい動物病院の獣医師にこれらの書類を見せることで、スムーズに診療を継続できます。

健康診断で異常が見つかったら?

健康診断の結果、異常や病気が見つかった場合は、直ちに診察や治療を受けることになります。
その後の対応は獣医師に任せましょう、追加の検査が必要な場合もあります。
疑問や不安があれば、相談しましょう。獣医師は飼い主に寄り添った対応をするでしょう。
また、前述の通り、動物病院には様々な種類があります。必要に応じて専門医を紹介してもらえます。

健康診断にはペット保険は使用できませんが、その後の治療費については利用できます。ペット保険会社に問い合わせて保険金を受け取りましょう。

まとめ

  • 健康診断は病気の早期発見ができるので、犬にも必要。7歳以上の犬の41%、7歳未満の犬の22%に健康診断で病気・異常が見つかっている
  • 犬の健康診断の項目やかかる時間、費用は、動物病院のプランや犬の年齢、既往歴などにより変わる。犬の健康診断の費用はだいたい11,000円~※4
  • 犬を迎えたら健康診断を受けるのが理想
  • 1~ 6歳までは年に1回の頻度、シニアになったら年2回の健康診断が理想
  • 血液検査をする際は12時間の絶食が一般的だが、仔犬や大病を患っている犬は獣医師の指示を仰ぐこと
  • 健康診断後はできるだけゆっくりさせること

よくあるご質問

  • Q

    犬の健康診断前には、食事や飲水は可能ですか?

    A

    問診や身体検査、目や尿・便検査だけの場合は、食事も飲水も可能です。ただし、血液検査など他の検査を行う場合は、12時間の絶食が必要です。※9
    また、動物病院によっては水を飲まないように指示される病院もありますので、事前に問い合わせてください。※10

  • Q

    犬の健康診断は保険適用ですか?

    A

    健康な状態もしくは、病気が見つかっていない段階で受ける健康診断には保険は適用されません。健康診断で病気が見つかり、追加検査が必要になった場合は、保険が適用されます。

  • Q

    何歳から健康診断に行けば良いですか?

    A

    ペットを迎えたら一度行くのが理想的です。ブリーダーやペットショップでペットを購入した場合は、すでに健康診断を受けていることもあります。それでも獣医師の元に行くことで、ペットが来たときの状況から獣医師に知ってもらえるメリットがあります。しつけや食事の相談も可能です。※5

  • Q

    健康診断の費用を教えてください。

    A

    項目や動物病院によって変わりますが、11,000円~が目安です。※4
    シニア犬の健康診断って何を検査してもらうべきですか?
    問診と身体検査、血液検査、尿・便検査の他にレントゲンと腹部エコー検査といった画像診断、白内障検査も入れるとなお安心です。※17

参考文献

※1:■犬と猫の定期健康診断受診率は増加が続く Team HOPE(閲覧日:2024/5/29)
https://buneido-shuppan.com/jvmnews/article/jvm20230228-002(2023/2/28)
※2:犬の椎間板ヘルニアの原因・症状と治療法(閲覧日:2024/5/29)
https://www.ipet-ins.com/media/32431/(2023/2/28)
※3:健康診断の流れについて(閲覧日:2024/5/29)
https://morinoinuneko.com/nishihara-blog/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E8%A8%BA%E6%96%AD%E3%81%AE%E6%B5%81%E3%82%8C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6(2017/8/26)
※4
健康診断 | 聖蹟ファミリー動物病院 | 東京都多摩市
https://seisekifamily.com/health/
料金のご案内|藤原動物病院
https://www.fujiwara-ah.jp/price/
シニア猫・犬 健診 | 杉並区 動物病院|犬・猫専門 ひがしやま動物病院
https://www.higashiyama-ah.com/contents/category/checkup/
※5:健康診断で客観的にペットのことを知っておく(閲覧日:2024/5/29)
https://douso-petclinic.com/column/1957/(2022/9/1)
※6:人と動物との共通感染症一覧(閲覧日:2024/5/29)
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/douso/kansen/kan_list/index.html 
※7:先手を打てば後が楽になる!子犬の頃からの健康診断(閲覧日:2024/5/29)
https://douso-petclinic.com/column/2052/(2023/7/1)
※8:高齢犬についてPrinter-Friendly(閲覧日:2024/5/29)
http://www.matsunami.co.jp/petcare/petcaredog/caredog_12.html
※9:血液検査前の絶食は必要?(閲覧日:2024/5/29)
http://ah-cocoro.com/blog2/%E8%A1%80%E6%B6%B2%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E5%89%8D%E3%81%AE%E7%B5%B6%E9%A3%9F%E3%81%AF%E5%BF%85%E8%A6%81%EF%BC%9F/
※10:健康診断:笠松動物病院(閲覧日:2024/5/29)
https://kasamatsu-vetclinic.com/%e5%81%a5%e5%ba%b7%e8%a8%ba%e6%96%ad%e3%81%ae%e3%81%94%e6%a1%88%e5%86%85/
※11
定期検診で早期発見(閲覧日:2024/5/29)
https://www.berkeley-ah.com/co_navi/2c9cf4e687e00acf562050f86f3d9100-96.html
犬と猫の肺がん(閲覧日:2024/5/29)
https://www.tachikawa-central-vet.com/2018/10/20/%E7%8A%AC%E3%81%A8%E7%8C%AB%E3%81%AE%E8%82%BA%E3%81%8C%E3%82%93/(2018/10/20)
※12:【症例報告】血液検査だけでは分からないこと(閲覧日:2024/5/29)
https://www.suzuki-vets.com/report/report/2084.html(2020/11/22)
※13:動物・ペットの健康診断|動物検診センター キャミック(閲覧日:2024/5/29)
https://camic.jp/
※14:夜間・救急診療(犬・猫・うさぎ・フェレット・ハムスター) - 日本動物医療センター(閲覧日:2024/5/29)
https://jamc.co.jp/yakan/
※15:川崎本院|JARMeC|日本動物高度医療センター|JARMeC(閲覧日:2024/5/29)
https://jarmec.jp/kawasaki/
※16
シニア科|ホンド動物病院|練馬区・中野区・杉並区・新宿区・板橋区(閲覧日:2024/5/29)
https://www.hondo-ah.com/INTERNAL_MED/senior.html
シニア科 | 上本町どうぶつ病院 大阪市天王寺区(閲覧日:2024/5/29)
https://uehommachi-animal.com/senior.html
シニア犬・老犬の緩和ケアとリハビリ|キュティア老犬クリニック(閲覧日:2024/5/29)
https://cutia.jp/
※17:シニア犬(7歳以上) | 上本町どうぶつ病院 大阪市天王寺区(閲覧日:2024/5/29)
https://uehommachi-animal.com/doghealth-3.html

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この記事の執筆者
執筆者

竹田 恵氏

ペットシッター士
ライター

竹田 恵氏

ペットシッター士
ライター

2017年よりライターとして活動中。子供の頃から動物好きで、猫、ハムスター、うさぎの飼育経験あり。現在はシーズー犬と一緒に暮らしている。犬は他の動物と比べて人間と密な生活になるため、ペット関係の資格を取得した。

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