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猫の病気

2021.11.15

2023.09.11

猫で失明をおこす原因・疾患とは?余命や治療、自宅ケアについて解説

慢性腎臓病は猫で大きな死因となる疾患のひとつであり、視力の低下や失明を引き起こすことがあります。慢性腎臓病の余命や治療方法、ほかに失明の原因となる糖尿病や緑内障などの疾患についてわかりやすく説明します。また、視力低下にたいして自宅でできるケア方法の紹介もしています。

この記事の監修者
監修者

増田 国充氏

ますだ動物クリニック院長 / 獣医師

増田 国充氏

ますだ動物クリニック院長 / 獣医師

獣医師、防災士、2001年北里大学卒
2007年ますだ動物クリニック開院。診療に東洋医療科を加え、鍼灸や漢方による専門外来を実施。運動器疾患に対して鍼灸による治療を積極的に取り入れ、県内外から症例に対応する。また、鍼灸・漢方等で国内外で講演を実施。動物看護系専門学校非常勤講師兼任。

猫の視力が低下、失明したときにみられる行動、症状

猫の視力が低下したり、視力を失う失明とよばれる状態になったとき、猫は普段と異なる行動をとることがあります。

物にぶつかるようになった、段差に気が付かないで落下する、などの視力の低下、失明による直接的な症状や、行動が慎重になる、性格が変化するなどの視力が落ちたことによる間接的な症状がみられる場合があります。

猫の視力低下、失明を引き起こす疾患、たとえば慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症、Ⅱ型糖尿病では、水を多く飲み、尿を多く出す多飲多尿、嘔吐や下痢などの症状がみられることが多く、視力に関係する症状に先立ってこのような症状がみられることがあります。

猫がなぜ失明する?

猫の視力低下や失明はいくつかの疾患によって引き起こされますが、【1】眼以外の疾患が原因、【2】眼に直接的な原因があるものに大別することができます。

【1】眼以外の疾患が原因のものでは、高血圧性網膜症を引き起こす疾患が多く含まれます。網膜は眼の奥にある視力を司る神経細胞が存在する膜であり、高血圧による眼の奥の出血などが原因となり網膜がはがれる網膜剥離が起き、視力低下、失明が起きる疾患を高血圧性網膜症とよびます。

【2】眼に直接的な原因があるものとしては、眼の炎症や眼の中の圧力が上昇することで網膜が損傷を受ける疾患が知られています。

慢性腎臓病による失明

慢性腎不全は猫でとても多くみられる疾患であり、12歳以上の猫の3割が罹患しているといわれています。本来腎臓では血液中の老廃物の除去や、血圧の調整、赤血球の成長など生命活動に非常に重要な役割をしていますが、これらの機能が低下します。慢性腎臓病は比較的長い経過を辿る腎機能の低下をいいます。

慢性腎臓病の原因には、遺伝的な疾患であり腎臓に液体が溜まった空間がたくさんできてしまう多発性腎嚢胞、腎臓に特定の物質が蓄積し、機能障害を引き起こす腎アミロイドーシスや糸球体性腎症、猫でもっとも多い腫瘍であるリンパ腫などが含まれています。

慢性腎臓病は全身性の高血圧を引き起こすことが知られており、腎疾患を持つ20~65%の猫は高血圧を併発しているといわれています。高血圧は眼の奥の出血を介して網膜剥離を引き起こしますが、ある研究では高血圧の猫はすべての個体が高血圧性網膜症を持っており、そのうち8割ほどで急性の失明がみられたと報告されています(※1,2,3)。

甲状腺機能亢進症による失明

猫の視力低下や失明を引き起こす高血圧性網膜症の原因として、慢性腎臓病の他に甲状腺機能亢進症があります。甲状腺は身体の働きを活発にする働きを持つ甲状腺ホルモンを分泌する組織であり、甲状腺機能亢進症では甲状腺ホルモンの過剰分泌による症状がみられる疾患です。

猫の甲状腺機能亢進症は比較的よくみられる疾患であり、12~13歳の猫で好発するといわれています。甲状腺機能亢進症は甲状腺にできる腫瘍が多くの原因となりますが、猫においてこの腫瘍の70%は良性腫瘍、5%以下は悪性腫瘍だと報告されています。

甲状腺機能亢進症は簡単に言えば、身体の働きが異常なほど活発になりすぎる疾患です。心臓などの臓器の働きが異常に亢進することなどにより、当疾患の10%ほどは全身性の高血圧を併発しているとされています。また、甲状腺機能亢進症の治療を終えた猫の20%は、続発性の高血圧を引き起こすとされています。

この高血圧は高血圧性網膜症の原因となり猫の視力低下や失明を引き起こすだけではなく、猫の寿命を短くするといわれています(※3,4)。

糖尿病による失明

糖尿病にはインスリンを分泌する臓器である膵臓が免疫機能に攻撃され、インスリンを分泌できなくなるⅠ型糖尿病と、細胞がインスリンを受け取る感受性が低下することによるⅡ型糖尿病が含まれています。

猫の糖尿病は9割ほどがⅡ型糖尿病であり、糖尿病の猫では健康な猫と比較してインスリン感受性が1/6ほどしかない。つまり、インスリンが正常に分泌されていても十分に細胞がインスリンに対して作用を示さないことを表します。

Ⅱ型糖尿病は生活習慣が大きく関係する疾患でもあり、過肥の猫では発症リスクが4.6倍増加するとされています。

糖尿病では血液中の糖分が高くなる高血糖などの症状がみられますが、全身臓器の障害も同時にみられます。糖尿病が原因となる腎臓障害を糖尿病性腎症とよび、糖尿病を罹患する猫の20~40%は糖尿病性腎症を持つといわれています。糖尿病性腎症は慢性腎臓病を介し、高血圧性網膜症を引き起こす危険性があると考えられます。

また、人や犬の糖尿病では糖尿病が眼に障害を与える糖尿病性網膜症や、糖尿病性白内障などがみられます。猫では人や犬とは異なり糖尿病性白内障の発症率は低いようですが、糖尿病の猫では白内障の発症が早まったとする研究もあります(※5,6)。

緑内障による失明

緑内障は眼の内部に流れる眼房水の圧力が高くなることで、網膜などの障害を引き起こす疾患です。犬における緑内障はとても強い眼の痛みとともに急性の失明を引き起こす疾患として知られていますが、猫の緑内障は比較的慢性経過を辿る疾患だといわれています。犬の緑内障と比較すると劇的な症状がみられにくい疾患ですが、猫の緑内障は診断時に73%が失明していたと報告されている疾患であり、視力低下や失明の原因になり得ます。

猫の緑内障は【1】先天性緑内障、【2】続発性緑内障に大別できますが、【1】先天性緑内障はシャム、バーミーズ、ペルシャなどの品種でみられる生まれつきの眼の構造異常が原因の疾患であり、【2】続発性緑内障は猫の緑内障の95~98%を占める疾患です。

【2】続発性緑内障は喧嘩による外傷や、眼内腫瘍などのさまざまな原因で引き起こされますが、もっとも多い原因は慢性リンパ性ブドウ膜炎だといわれています(※7)。

猫のブドウ膜炎による失明

ブドウ膜とは眼球を内張りする膜であり、ブドウ膜炎は感染症などの原因でブドウ膜に炎症が引き起こされている状態をいいます。ブドウ膜炎はそれ自体の炎症が網膜に波及することで視力低下や失明を引き起こす原因となるほか、先述した慢性リンパ性ブドウ膜炎のように続発性緑内障を介して網膜に障害を与えることもあります。慢性リンパ性ブドウ膜炎は猫エイズとして知られているFIV、猫免疫不全ウイルスが原因となり引き起こされます。

ブドウ膜炎がみられる感染症はFIVだけではなく、猫にウイルスの感染が原因の腫瘍を引き起こすFeLV、猫白血病ウイルスや、若齢の猫に致死的な症状を引き起こすFIP、猫伝染性腹膜炎ウイルスなどのウイルス性疾患でみられます。

また、クリプトコッカス感染症やヒストプラズマ感染症などの猫で多いカビによる感染症や、人に感染することで猫ひっかき病を引き起こすバルトネラ菌、同じく人に感染することで流産などを引き起こすトキソプラズマなどの病原体もブドウ膜炎の原因になることが知られています(※8)。

ライトやレーザーポインターの危険性

猫は狩猟本能が強く動きが速いものを追う習性があります。猫じゃらしなどのおもちゃで遊ぶよりも楽なため、レーザーポインターやライトの光を使用することは危険です。

レーザーポインターやライトは非常に強い光を照射することができる道具であり、万が一猫が光を直視した場合、視力低下や失明を引き起こす可能性があります。カメラのフラッシュも同様に強い光による眼の障害を引き起こす場合があります。

また、レーザーポインターによる遊びは猫の強迫性疾患である常同行動を引き起こす危険性があると報告されています。光で映し出された獲物はけっして捕獲することができません。このような遊び方は猫にとって常同行動につながるストレスを与えている可能性があります(※9)。

猫の視力低下や失明の治療

猫の視力低下や失明の治療には眼の手術を含めた視力回復のための治療と、症状を引き起こしている原因疾患に対する治療が含まれています。原因疾患の治療は非常に重要であり、さらなる視力低下を防ぐ、遅らせる効果があります。一方、一度失明してしまった視力を回復させることは難しい一面もあります。

猫の視力低下や失明の原因疾患には慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症、Ⅱ型糖尿病などの長い闘病が必要になるものが多く含まれており、定期的な通院や獣医師に指示された通りの治療薬の投与を確実におこなうことが大切です。

また、猫の緑内障やブドウ膜炎は喧嘩による外傷や各種感染症が発症の一因となります。これらを防ぐためには猫の完全室内飼育をおこなうことがもっとも効果的です。猫は感染症に弱く、また野外猫を介して伝搬する感染症も数多く知られている動物です。また、野外飼育の猫は完全室内飼育の猫と比較し数年、つまり人の寿命で換算し10~20歳あまり短命であるとの報告もあります。

猫は野生動物ではありません。責任を持って愛し、飼育してくれる飼い主がいなければ満足な生を全うできない伴侶動物です。完全室内飼育は猫の生活を制限する一面もありますが、愛する飼い主と長く暮らすことができるというかけがえのないメリットを持ちます。

監修者コメント
増田 国充
ますだ動物クリニック院長/ 獣医師

眼、視力に関連した疾患やケガというのは非常に多岐にわたります。予防によってそのリスクを軽減できるものがあれば、そうでないものも存在します。他の猫とのけんかによる眼の損傷は、屋外で活動する猫でよくみられるものの一つです。また、いわゆる猫カゼはくしゃみや鼻水といった症状のほかに、重度の結膜炎を起こすことがあります。悪化すると視力にも影響を及ぼすことがあります。
これらはワクチン接種や室内飼育の徹底を行うことである程度リスクの軽減につなげることができます。普段の動きのほか、目の大きさ、色、形などに「あれ?」と思う点があった場合は、早めにかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
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視力が弱くなった猫の自宅でのケア方法

視力が衰えてしまった猫を自宅で飼育する際、どのようにケアしてあげればいいのか悩むことがあると思います。猫が生活する上で視覚は重要ですが、聴覚や嗅覚も彼らの生活をサポートしています。一般的に失明してしまった猫は、聴覚や嗅覚を頼りに生活するといわれているようです。

盲目の猫はトイレや食事場所をいままでの記憶と聴覚、嗅覚により探すと考えられます。猫の視力に問題が起きたときには、模様替えをせず、一旦様子をみてみましょう。

上手にトイレを探すことができない場合、排せつ物を混ぜたねこ砂をいれたトイレを複数箇所設置することも効果的かもしれません。

また、猫のおもちゃは音のなるタイプに変えてあげることで、聴覚を頼りに遊びをおこなうことができます。

失明した老猫にしてあげられること

猫の失明を引き起こす疾患は、高齢猫に好発する疾患が多くみられます。失明した猫と老後のケアや死期の近い場合のケア、つまりターミナルケアは密接な関係にあるといえます。

ターミナルケアは死期の近い動物にたいしてQOLをできるだけ維持するケアをいいます。QOLは「Quality of life」の略であり、「生の質」を表す言葉です。

失明した猫のQOLを維持するためには、餌入れや水入れの高さを低くし労力を使わずに食事ができるようにする、猫がつまずく段差をできる限りなくすなどの生活面の工夫や、排泄に失敗してしまった場合でも叱らない、すみやかに排せつ物を掃除してあげるなどの世話が含まれます。

持病の治療を最期のときまでおこなうこともまたQOL維持のためには重要です。獣医師がおこなうことができる治療は、疾患を治すための治療だけではありません。終末期の痛みや苦痛を取り除くための治療をおこなうこともできます。

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監修者コメント
増田 国充
ますだ動物クリニック院長/ 獣医師

われわれ人間は、犬や猫と比べて視覚から得る情報に強く依存しています。とはいえ、猫にとって視覚が重要でないかといわれるとそのようなことはありません。
加齢や様々な病気によって視力を失うと、生活するうえで不便が生じます。そのため、他の知覚に頼らざるを得なくなるためどうしても敏感になりがちです。猫自身も不安を抱えながら生活していますので、そのフォローをできるだけ飼い主さんにしていただきたいと考えています。今まで慣れ親しんだ生活環境を維持することで、猫は大きな不安を持たずに生活することに大きく貢献できます。
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この記事の執筆者
執筆者

若林 薫氏

獣医師
ライター

若林 薫氏

獣医師
ライター

麻布大学を卒業し獣医師免許を取得、大手ペットショップで子犬・子猫の管理獣医師として勤める。その後、製薬企業での研究開発関連業務を経て、ライターとして活動する。幅広い専門知識を生かした記事作成を得意とする。

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