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猫の病気

2022.01.25

2022.11.14

猫の胸水。余命に関わる疾患が引き起こす症状と、その原因。

猫の胸水は胸に体液が溜まる病態であり、呼吸器症状をはじめとした致命的な症状を引き起こします。肥大型心筋症などの胸水や肺水腫がみられるいくつかの重篤な病気やその原因、治療法や、胸水を持つ猫に飼い主にできること、ターミナルケアの方法について獣医師がわかりやすく解説します。

この記事の監修者

江本 宏平氏

株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

江本 宏平氏

株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

獣医師、犬猫の在宅緩和ケア専門、2012年日本大学卒
通院できない犬猫に獣医療を届けるため、往診専門動物病院わんにゃん保健室を設立。
短い時間の中で行う「業務的な診察」ではなく、十分な時間の中で家庭環境を踏まえた診療プランを提供できる「飼い主に寄り添う診察」を心がけています。

猫の胸に体液が溜まる胸水

猫の胸部には心臓や肺などの重要な臓器が肋骨に囲まれて収納されている胸腔とよばれる空間が存在します。胸腔には正常な状態でもある程度の胸水が存在し、臓器が乾燥しないように保護していますが、なんらかの理由でこの胸水が異常に貯蓄されてしまうと肺が伸展、収縮する働きを邪魔し、呼吸器症状などをひきおこします。

胸水の原因となる疾患には心疾患、悪性腫瘍、特発性乳び胸、感染症などが知られていますが、心疾患による胸水が最も多くみられ40%前後の症例では心臓の機能不全が原因であったと報告されています。

胸水を引き起こす疾患には命に関わる症状がみられる疾患が含まれており、余命に関係する症状といえるでしょう。

猫に胸水がみられたとき

胸水による症状

猫の胸水では胸腔内に体液が貯留することによる肺の機能不全がみられます。肺は呼吸による血液中の酸素交換をおこなう臓器であり、肺機能低下や阻害により息苦しい、窒息などの呼吸器症状がみられます。

浅く速い呼吸や、お腹を使った腹式呼吸、口を開けた早い呼吸であるパンティングなどは猫における重い呼吸器症状を表している可能性があります。本来猫はほとんどパンティングをおこなわない動物であり、また腹式呼吸が含まれる奇異呼吸とよばれる動作をおこなう猫では66%で胸水や肺水腫を持っていたと報告されています。これらの呼吸がみられる猫は異常な状態であり、できるだけ早い動物病院での検査が必要です。

胸水と肺水腫

胸腔に異常な量の体液が貯留する症状である胸水と混同されがちな言葉に肺水腫とよばれるものがあります。肺水腫では肺の内部に体液が異常に貯留し、呼吸器症状を引き起こします。

胸水や肺水腫は異なる症状ではありますが、猫にみられる異常な呼吸や原因となる疾患などがいくつか共通している部分もあります。

胸水を引き起こす疾患の余命

胸水を引き起こす疾患でもっとも一般的なものに心疾患があります。肥大型心筋症はその中でもよくみられる疾患であり、胸水の原因となります。

肥大型心筋症は窒息や突然死などを介し、余命を短くする疾患です。猫の肥大型心筋症における余命を説明するためにはthe American College of Veterinary Internal Medicine(ACVIM)によるA-Dスケールを簡単に解説しておく必要があります。このスケールではステージAがもっとも軽度の心筋症であり、Dがもっとも重度の心筋症であることを示しています。

ステージAおよびB1の心筋症では無徴候もしくは心筋症が発症していない状態を示しています。B2では症状はみられないが心臓に比較的重い病態がみられる状態であり、C-Dでは重度の症状がみられる心筋症を示しています。

胸水や肺水腫がみられる心筋症はステージC以上です。ステージCの猫の多くは心筋症で死亡し、症状末期の状態として扱われることもあります。

ステージCの猫の余命は治療が良好に反応した場合で数カ月から1~2年であると報告されています。

心筋症の猫の死因として重要な続発性の疾患として心臓内に大きな血栓が形成され、血管を梗塞させる動脈血栓塞栓症というものがあります。この疾患はステージB2以上の猫でみられ、動物病院に入院した猫の30~45パーセントを死亡させると述べられています。また、退院した猫においても中央生存期間は117日とされています。中央生存期間は余命を表す用語のひとつです。

胸水の原因として心筋症についで多いものとして悪性腫瘍があります。胸水を引き起こす悪性腫瘍でもっとも多いものは前縦隔型リンパ腫であり、その次に胸腺腫がみられます。

前縦隔リンパ腫の猫の中央生存期間は3~4カ月といわれ、胸腺腫もまた20%で転移がみられる悪性腫瘍です。

胸水の猫にしてあげられること

猫の胸水は原因疾患の末期症状としてみられる場合があります。強い呼吸器症状は窒息などを引き起こし、猫の命の質を表すQOLを大きく低下させている可能性があります。

猫のターミナルケアをおこなっていく上でもっとも重要なことの一つにかかりつけの獣医師との連携、相談があります。胸腔穿刺による定期的な胸水の抜去、原因疾患に対する治療は猫のQOLの維持に大きな役割を持ち、また窒息に対する補助療法である酸素吸入をおこなうための機器のレンタルなどの相談をおこなうことも出来るかも知れません。

監修者コメント
江本 宏平
株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

往診で出会う犬猫で、亡くなる数日前から胸水が溜まってくるということを多く見受けています。
胸水の原因は様々ですが、胸水貯留は呼吸困難に直結する所見であり、改善できるようであれば一刻も早く対処してあげたい所見の一つです。
また、呼吸状態の悪い犬猫に対しては、酸素環境を整えることが重要です。
動物病院の仲介なしでレンタルできる業者もありますので、自宅まで届けてくれる業者を事前に調べておくといいです。
なお、酸素室の使用方法に関しては、獣医師に相談した方が安全性高くご利用いただけると思われますので、自己判断せずに、かかりつけの動物病院までお問合せください。

胸水を引き起こす疾患と原因

肥大型心筋症

肥大型心筋症は猫でもっとも多い心疾患であり、多くの猫の死因として知られている疾患です。心臓の筋肉である心筋が異常に厚くなり、心臓内部の血液を貯留する空間が狭くなることで心機能の低下を引き起こします。

呼吸器症状などの明らかな症状を持つ肥大型心筋症の猫は多くが胸水や肺水腫を持つとされています。

肥大型心筋症の原因

遺伝性や家族性に発症する疾患だと考えられています。

肥大型心筋症になりやすい猫

肥大型心筋症は猫でもっとも多い心疾患です。猫全体での罹患率は15%前後であり、高齢猫での罹患率は29%前後であると報告されています。

好発品種も知られており、メインクーン、ノルウェージャンフォレストキャット、ラグドール、ペルシャ、ベンガルなどでよくみられる疾患です。

腫瘍による胸水

猫の悪性腫瘍では前縦隔リンパ腫と胸腺腫などが胸水を引き起こすことが知られています。これらの腫瘍は胸腔内に存在する膜である前縦隔内の臓器、心臓や胸腺に発生します。

リンパ腫は猫でもっとも多い腫瘍のひとつであり、胸腺腫は筋肉が脱力麻痺する疾患である重症筋無力症を続発させることがあると知られています。

胸水がみられる腫瘍になりやすい猫

リンパ腫の猫は4歳前後、胸腺腫を含む非リンパ腫性の前縦隔腫瘍は9.5歳前後で好発するとされています。

リンパ腫の発生原因として猫白血病ウイルス(FeLV)の感染は無視できません。猫白血病ウイルスは猫免疫不全ウイルス(FIV)とともに野外猫や、野外飼育をされている猫で蔓延するウイルス性疾患です。

猫におけるリンパ腫の多くは発症に猫白血病ウイルスが関与しているとされ、完全室内飼育の徹底をおこなう必要があります。

特発性乳び胸

肥大型心筋症や前縦隔リンパ腫と比較するとまれな疾患ですが、特発性乳び胸とよばれる疾患もまた胸水の原因となります。

腸管から吸収された脂肪分などの栄養素はリンパ管とよばれる血管とは異なる経路で体内を循環します。このリンパ管を流れるリンパ液は胸腔に面した静脈に流入しますが、なんらかの原因により胸腔内にリンパ液が漏れ出てしまう状態を乳び胸とよびます。

乳び胸は腫瘍によるリンパ管閉塞、外傷などでも引き起こされますが、多くの原因は不明であり特発性とよばれています。

感染症による胸水

仔猫や若齢の猫に致死的な症状を引き起こす伝染性腹膜炎(FIP)ウイルス感染症や、各種の細菌感染により胸腔内に膿が貯留される膿胸(のうきょう)などでも胸水はみられます。

FIPは腸コロナとよばれる猫で一般的なウイルスが致死性の全身症状を引き起こす株に変異したものだと考えられており、人のコロナウイルスとは無関係なウイルスが原因となる感染症です。

FIPでは胸水や腹水が異常に貯蓄するウェットタイプとよばれる病態が存在します。

膿胸は外猫のように清潔ではない環境で飼育されている動物との喧嘩による外傷などが原因となり引き起こされます。

動物病院でできること

動物病院を訪れた胸水の猫は重い呼吸器症状により早急の処置が必要です。
軽度や中程度の胸水が疑われる猫ではエコー検査やX線検査などの画像検査をおこない、それから胸腔穿刺による胸水の採取、抜去の処置をすることがありますが、重い症状がみられる胸水の猫ではいち早く胸腔穿刺をおこない救命をおこなう可能性があります。

胸水の採取をおこなったときには、血液や胸水に含まれる成分、細胞を調べることで原因疾患を探していきます。

監修者コメント
江本 宏平
株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

胸水抜去には、ある程度の痛みを伴ってしまうというデメリットがある反面、実施すれば物理的に肺が拡張できる空間ができることから、迅速な呼吸改善を認めることができるという大きなメリットがあります。
その子の性格にもよりますが、必要に応じて全身麻酔をかけることもあるため、状態が悪い犬猫に対する麻酔リスクも考慮しなければいけません。
無麻酔で実施しても我慢してくれるタイプであれば無麻酔で実施しますが、痛みで呼吸が悪化し、そのまま致命的な結果を辿るということもあります。
実施手順に関しては、必ず獣医師と相談するようにしましょう。

胸水を引き起こす疾患の治療

肥大型心筋症の猫では内科的治療による心臓の負担の軽減や、胸水や肺水腫などの病態による呼吸器症状を改善するための治療などをおこなっていきます。

胸水がみられる腫瘍の治療では腫瘍の種類により治療法が異なります。前縦隔リンパ腫では抗がん剤を使用した化学療法をおこないますが、胸腺腫の治療では外科的な切除が第一選択としておこなわれます。

特発性乳び胸の治療では胸水の頻回の抜去や、低脂肪食の給餌などの食事療法をおこないます。

胸水を予防するためには

猫の胸水を防ぐためには完全室内飼育の徹底は大きな意味を持ちます。前縦隔リンパ腫の原因となる猫白血病ウイルス(FeLV)、FIPの原因となる腸コロナウイルス、膿胸の原因となる各種細菌性の感染症や、それを助長する易感染性がみられる猫免疫不全ウイルスなどの感染症は野外猫で蔓延し、新規感染を引き起こします。

また、一部の心筋症は特定の栄養素の欠乏で引き起こされることがあり、猫用の総合栄養食での飼養により予防することができる場合があります。総合栄養食とは水と総合栄養食の適切な給餌のみで健康な飼養ができる餌のことを指します。

栄養バランスに十二分に注意が払われていない手作り食などは栄養素が欠乏する原因のひとつであり、知識が乏しいまま安易に手作り食の給餌は飼い猫の健康被害になりえます。

まとめ

  • 猫の胸水は呼吸器症状を介して余命を短くする病態である。
  • 胸水を引き起こす疾患には肥大型心筋症、前縦隔リンパ腫、特発性乳び胸、感染症などがある。
  • 胸水の猫では浅く速い呼吸や、腹式呼吸、口を開けてするパンティングなどの症状がみられる。
  • 猫に胸水がみられた場合、余命はあまり長くない可能性がある。
  • ターミナルケアとしてかかりつけ医との連携、頻回の治療、処置は重要である。

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江本 宏平
株式会社 B-sky 代表取締役 / 獣医師

胸水貯留が生活の質を下げてしまうというは明らかです。対処法で物理的な緩和処置として胸水抜去がありますが、目に見える改善というメリットに対して、痛みでショックを起こして亡くなるリスクが表裏一体として存在しています。
内服薬では基本的に胸水の減少を望めないとされていますが、病気によっては減少している症例もありますので、胸水抜去までは踏み込めないが少しでも楽にしてあげたいと考えた場合には、獣医師まで相談するようにしましょう。
ご自宅に酸素環境を整え、呼吸状態が悪いのであれば、可能な限りかかりつけの獣医さんに往診してもらえるかお願いしましょう。

参考文献

※:A new approach to pleural effusion in cats: markers for distinguishing transudates from exudates
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7129129/
※:The Feline Cardiomyopathies: 1. General concepts
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8723176/
※:Flow Cytometric Analysis of Mediastinal Masses in Cats: A Retrospective Study
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7438742/
※:Classification of myasthenia gravis and congenital myasthenic syndromes in dogs and cats
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7517852/
※:ACVIM consensus statement guidelines for the classification, diagnosis, and management of cardiomyopathies in cats
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7255676/

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この記事の執筆者

若林 薫氏

獣医師
ライター

若林 薫氏

獣医師
ライター

麻布大学を卒業し獣医師免許を取得、大手ペットショップで子犬・子猫の管理獣医師として勤める。その後、製薬企業での研究開発関連業務を経て、ライターとして活動する。幅広い専門知識を生かした記事作成を得意とする。

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