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犬の病気

2022.03.10

2023.09.11

犬のリンパ腫。ステロイドや抗がん剤による治療や余命について解説

リンパ腫は犬でよくみられる悪性腫瘍でありリンパ球のがんです。余命は短く、ステロイドや抗がん剤による治療が必要になります。多中心型や消化器型などの種類をもち、症例により皮膚症状がみられる場合もあります。動物病院でおこなう診断や治療、ターミナルケアなどについて獣医師が解説します。

犬でよくみられるリンパ腫

リンパ腫は犬でよくみられる悪性腫瘍です。リンパ球とよばれる細菌やウイルスの感染から身体を守る役割を持つ細胞のがんであり、犬の全腫瘍のうち最大24%を占めると報告されています。

リンパ腫はリンパ節という小さな器官に発生しやすい特徴を持ちます。リンパ節はリンパ球などの免疫細胞が集まる組織であり、消化管をはじめとしたさまざまな臓器に存在します。したがってリンパ腫はどのような臓器にも発生する可能性があり、犬の死因ともなり得ます。

当疾患の治療では抗がん剤やステロイドを組み合わせて使用する多剤併用療法をおこないます。リンパ腫は比較的治療の反応が良く症状が落ち着くことも多いとされていますが、多くの場合で再発を繰り返しながら状態が悪くなっていきます。

リンパ腫はいくつもの種類がある疾患

多中心型リンパ腫

リンパ腫はどのような臓器にも発生する可能性がある腫瘍であり、病変の部位によりいくつもの種類に分類されています。

多中心型リンパ腫はすべてのリンパ腫の80~85%を占める犬でもっとも一般的な種類です。多中心型リンパ腫では同時多発的にさまざまな臓器にリンパ腫がみられ、腫瘍が障害する臓器によって異なるいくつもの症状が組み合わされます。
結果、犬の体調悪化を引き起こします。

消化器型リンパ腫

犬の胃や腸にはパイエル板とよばれるリンパ節の一種が存在します。消化器に常在する細菌や、食事などと一緒に運ばれてきた病原体から身体を守る役割があります。消化器型リンパ腫では消化器に存在するこれらの免疫組織に腫瘍が発生します。

消化器型リンパ腫は5~7%の発生率と報告されており、多中心型リンパ腫と比較するとまれな腫瘍ですが、抗がん剤などによる治療法に反応が悪く予後が短いという特徴があります。

その他のリンパ腫

リンパ腫は皮膚や眼に発生するもの、縦隔とよばれる心臓や肺を包む膜に発生するものなどが存在します。まれな病変として心臓に発生することも知られています。

犬のリンパ腫の症状や余命

リンパ腫の症状

1.全身症状
リンパ腫では全身のリンパ節で腫瘍が増殖することにより、しこりのように触れるリンパ節の腫脹とよばれる症状がみられることがあります。また、多くのリンパ腫では元気や食欲の低下、体重の減少、発熱のように犬の体調不良としてよくみられる症状を引き起こします。

2.臓器別の症状
リンパ腫は発生した臓器によって、眼の炎症や腫大、皮膚の異常、呼吸の乱れ、多飲、多尿、粘膜の色の変化など、多様な症状がみられる場合があります。

3.腫瘍随伴症候群について
腫瘍随伴症候群とは腫瘍性疾患に罹患した犬でみられるいくつかの病態を指します。これらは腫瘍自体が分泌する特別な物質や、腫瘍の増殖による臓器や組織の障害によって引き起こされます。

リンパ腫による腫瘍随伴症候群には多飲多尿、筋の脱力を引き起こす高カルシウム血症、粘膜蒼白や運動不耐性を引き起こす慢性貧血、血が止まりにくくなる、また皮下の出血である紫斑がみられる血小板減少症などが知られています。

リンパ腫がよくみられる犬

リンパ腫は中高齢の犬でよくみられる疾患であり、9歳前後の犬で多くみられると報告されています。

また、ドーベルマン、ロットワイラー、ボクサー、バーニーズマウンテンドック、またゴールデンレトリバーなどが好発犬種として報告されていますが、欧州における研究でありトイ犬種を代表する小型犬が多く飼育されている日本においては事情が異なる可能性があります。

リンパ腫の治療法と余命

リンパ腫の余命は治療法によって大きく異なります。①抗がん剤やステロイドを組み合わせ使用する多剤併用療法、②単剤や少ない種類の薬剤を使用する代替的な治療法、③無治療の場合での余命について解説します。

1.多剤併用療法での余命
CHOPプロトコルやウィスコンシン州大学マディソン校プロトコル(UWプロトコル)とよばれる多剤併用療法はもっとも長い余命が期待できる治療法です。多剤併用療法での余命は8-13カ月だと報告されています。

2.代替的な治療法による余命
多剤併用療法をおこなわない場合、より少ない種類の抗がん剤を使用した治療法や、1種類の薬剤を使用した治療法が選択されます。

抗がん剤であるドキソルビシンと、ステロイドを組み合わせた治療法での余命は5~9カ月であり、ステロイドを単剤で使用した場合ではさらに余命が短く1-2カ月で腫瘍が再発するといわれています。

3.無治療での余命
リンパ腫に罹患した犬に特に治療をおこなわなかった場合、余命は短くなり4-6週間で死亡するとされています。

リンパ腫の犬にできること

リンパ腫は無治療での余命が短い疾患であり、しっかりと治療をおこなうことが重要です。また、動物病院でおこなえる治療には腫瘍に対する化学療法のほか、苦痛を減らし、生活の質(QOL)を保つためにおこなうものもあります。病態が進行し全身状態が悪くなってしまった犬にとってQOLの維持は大きな意味を持ちます。ターミナルケアの一環として、犬の最後のときがくるまで、動物病院と連携をとって治療をおこなうようにしてあげて下さい。

ステロイドや抗がん剤を使用した治療とは?

一般的に腫瘍の治療法では外科的な手術、抗がん剤による化学療法、放射線療法などをおこないますが、リンパ腫は外科的切除が難しく化学療法を中心におこないます。

リンパ腫は化学療法に反応しやすい反面、薬剤に対する耐性の獲得や、再発をしやすい特徴を持ちます。そのため、いくつもの抗がん剤やステロイドを組み合わせ使用する多剤併用療法をおこないます。多剤併用療法は腫瘍の耐性獲得や再発をできる限り防ぐだけではなく、抗がん剤による副作用を最小限にする目的でもおこなわれます。

多剤併用療法にはCHOPプロトコルやウィスコンシン州大学マディソン校プロトコル(UWプロトコル)など多くの種類が知られています。
CHOPプロトコルを基本とした多剤併用療法がもっとも一般的に使用されています。

また、多剤併用療法以外の化学療法にはより少ない種類の抗がん剤を使用する代替的な治療法があります。多剤併用療法による副作用が大きい場合や、経済的な負担を考慮し治療法を選択していきます。

動物病院でおこなうこと

犬のリンパ腫の検査

リンパ腫が疑われる犬の検査では、体調不良の原因を絞り込むために血液検査やエコーやX線による画像診断をおこないます。
腫瘍に含まれる細胞を注射器などで採取し検査する細胞診、採取した細胞の遺伝子検査の結果をふまえ診断をおこなっていきます。
消化管に病変がみられる場合には内視鏡検査をおこなう場合もあります。

リンパ腫の寛解と再発

リンパ腫の治療をおこなっていく上で、寛解(かんかい)という言葉をよく理解しておく必要があります。リンパ腫は抗がん剤による治療に反応しやすく、検査上では腫瘍がみつからない状態まで腫瘍が縮小することがあり寛解とよびます。寛解は腫瘍が完全になくなったことを指しているわけではありません、多く場合でリンパ腫は腫瘍の再発が引き起こされます。

腫瘍の寛解から再発までの期間は、余命と同じく治療法により異なります。一般的に多剤併用療法では代替的な治療法と比較してこの期間が延長されます。

リンパ腫の治療と必要な費用

多剤併用療法であるCHOPプロトコルでは15-26週間の間、1-2週に一回の治療をおこなっていきますが、代替的な治療法の一種である抗がん剤であるドキソルビシンの単剤で投与では3週間に一回の治療を5-6回おこないます。

リンパ腫において多剤併用療法は大きなメリットを持つ治療法ですが、長期間にわたってさまざまな薬剤を投与する必要があるため、治療費が高額になるというデメリットがあります。一方、代替的な治療法は比較的治療費を抑えることができますが、治療効果が低くなってしまいます。

どのような治療法を選択するのかは金銭的な負担だけではなく、その犬の体調などの要素を含めて総合的に判断する必要があるため、一度かかりつけの獣医師と相談してみるとよいでしょう。

まとめ

  • リンパ腫は犬でよくみられる悪性腫瘍であり、無治療での余命は短い。
  • リンパ腫はリンパ球のがんであり、全身のリンパ節が腫脹する症状がみられることがある。
  • 犬ではさまざま臓器に腫瘍がみられる多中心型リンパ腫が一般的にみられる。
  • ステロイドや抗がん剤を組み合わせて使用する多剤併用療法で治療をおこなう。
  • リンパ腫は治療に反応しやすく寛解する場合もあるが、再発を繰り返す特徴がある。

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参考文献

Canine lymphosarcoma: overcoming diagnostic obstacles and introduction to the latest diagnostic techniques
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2249731/
Managing the canine lymphosarcoma patient in general practice
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1950108/
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https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/j.1939-1676.2007.tb01959.x
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Breed-associated risks for developing canine lymphoma differ among countries: an European canine lymphoma network study
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6090884/
Retrospective analysis of doxorubicin and prednisone as first-line therapy for canine B-cell lymphoma
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6245930/

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この記事の執筆者
執筆者

若林 薫氏

獣医師
ライター

若林 薫氏

獣医師
ライター

麻布大学を卒業し獣医師免許を取得、大手ペットショップで子犬・子猫の管理獣医師として勤める。その後、製薬企業での研究開発関連業務を経て、ライターとして活動する。幅広い専門知識を生かした記事作成を得意とする。

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