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犬の病気

2022.04.22

2023.09.11

犬の子宮蓄膿症。末期症状を引き起こす命に関わる疾患について

犬の子宮蓄膿症は中高齢でよくみられる疾患であり、腹膜炎や敗血症などの致命的な末期症状を引き起こします。ペットの命を守る疾患の早期発見や、外科手術を含む早期治療、動物病院での診断の検査や病気の原因、予防法などについて獣医師がわかりやすく解説します。

犬の子宮蓄膿症は子宮に膿が溜まる致命的な疾患。

犬の子宮蓄膿症とは中高齢の雌犬で多い生殖器疾患です。パイオメトラ、もしくはパイオなどと呼ばれる場合もあります。

当疾患では子宮に細菌感染がみられ膿が貯留します。外陰部に排出される膿、多飲多尿、発熱などの症状だけではなく、細菌感染が引き起こす敗血症や腹膜炎などの重篤な病態がみられ、犬の命を脅かす可能性があります。

子宮蓄膿症は救命のために一刻も早い治療が必要になる疾患です。疑わしい症状がみられたときには、動物病院を受診するようにしてください。

子宮蓄膿症の原因

子宮蓄膿症は子宮に大腸菌をはじめとした細菌が感染することで発症します。これらの細菌の多くは腸内細菌の一種であり、肛門や外陰部に存在するものがなんらかのきっかけで子宮内部に侵入したと考えることができます。

子宮に細菌感染が引き起こされるメカニズムは、詳しくわかっていませんが、生殖や発情に関係するホルモンバランスの乱れと、子宮内膜の異常な増殖が関与していると仮説が立てられています。

子宮蓄膿症の種類

外陰部が開いている開放性子宮蓄膿症、外陰部が閉じている閉鎖性子宮蓄膿症の2つの種類が知られており、子宮蓄膿症に罹患した犬のうち65%は開放性、35%は閉鎖性だったと報告されています。

開放性の子宮蓄膿症では子宮内部に発生した膿が外陰部を通じて外部に排出されるため、悪臭や汚れなどの特徴的な症状に気が付きやすい反面、膿が子宮内に貯留しにくいため1カ月以上病気が進行してから重篤な症状に気が付く場合もあります。

一方、閉鎖性の子宮蓄膿症では外陰部からの膿の排出が少ないために子宮内部の大量の貯留がみられ、1週間ほどで致命的な状態になることもあります。

病気にかかりやすい犬とは

子宮蓄膿症は未避妊の雌犬でみられる疾患です。また雌犬では病気にかかりやすい①特定の年齢、②特定のタイミングという特徴を持ちます。

  1. 子宮蓄膿症にかかりやすい年齢とは7歳前後より歳をとった中高齢のことを指します。未経産、もしくは産後から長い期間がたっている場合はよりリスクが高いとされています。
  2. 子宮蓄膿症にかかりやすいタイミングとは犬の発情後2~4カ月以内のことです。犬の発情は年に1~2度訪れ、外陰部の腫れや、出血によって知ることができます。

犬の子宮蓄膿症は早期発見、治療が重要

症状の早期発見をするためにできること

子宮蓄膿症は症状の進行が早く、発見が遅れると治療をしても救命できない可能性のある疾患です。できる限りの症状の早期発見と、動物病院での早期治療が非常に重要です。

犬の外陰部から出血がみられる発情期の2~4カ月以内は子宮蓄膿症が発生しやすいタイミングです。犬の外陰部に異常がみられる、犬が体調不良をおこしている場合には特に気を付ける必要があります。

毎日の健康チェックや、定期的な動物病院での健康診断も犬の異常に気が付くことが出来ます。食欲や元気のチェックや外陰部を含む全身のチェックをおこなうことで子宮蓄膿症だけではなく、さまざまな疾患の早期発見、早期治療に繋がります。

できるだけ早くに診察を受ける

子宮蓄膿症を疑う症状がみられるときには一刻も早くに動物病院を受診するようにしてください。当疾患では治療が日にち単位で遅れることが救命の成否に繋がる可能性があります。

症状の判断に迷うときにはかかりつけの動物病院や、夜間診療をおこなっている動物病院に一度電話をし、スタッフの指示に従うことも大切です。現在の犬の状態や、いつからどのように体調が悪化したのかなどを伝えるようにしましょう。

子宮蓄膿症の症状と余命

注意が必要な症状とは?

外陰部の膿、外陰部の腫脹

子宮蓄膿症で特徴的な症状です。外陰部から流れ出す、もしくは付近の被毛に付着した悪臭のする黄褐色やあずき色の膿がみられます。犬によっては膿を舐めとってしまい外陰部の症状に気が付きにくい、閉鎖型の子宮蓄膿症であり膿が確認しにくい場合もあります。

また、外陰部が腫れるという症状もよくみられます。犬は発情期前後になると正常な状態でも外陰部の腫れがみられますが、普段と比較して腫れの状態がおかしい、より外陰部を気にする、生理が長く続く場合には注意が必要になります。

腹囲膨満

膿が貯留した子宮が膨らみ、お腹を内部から圧迫することで体形が太ったようにみえることがあります。妊娠したわけではないのに犬のお腹が膨れてきたときには一度動物病院を受診し検査を受けるようにしましょう。

多飲多尿

異常に多く水を飲み、尿を排出する多飲多尿もよくみられる症状のひとつであり注意が必要です。暑熱時などの飲水量が増える時期ではない多飲、多尿は子宮蓄膿症だけではなくクッシング症候群などのできるだけ早くの治療が必要な内分泌疾患でもみられることがあります。

元気食欲の低下、発熱

ふだんよりも元気がない、運動や遊びをしたがらない、寝てばかりいる。ごはんを食べない、食べる量が減ったなどの元気食欲の低下、消失や発熱などの症状も子宮蓄膿症ではみられます。

これらの症状は一般的な体調不良でも引き起こされる可能性がありますが、発情期の周辺、発情期後数カ月などの特に気をつける時期や、多飲多尿などのそのほかの症状と併せてみられる場合などには要注意しましょう。少しの体調不良でも動物病院を受診して検査を受けることは、犬のQOLを維持するために大切です。

そのほかの症状

嘔吐や下痢などの消化器症状、呼吸が荒い、浅く速い呼吸をしているなどの呼吸器症状、歩行困難は当疾患でみられる可能性のある症状です。

敗血症や腹膜炎が引き起こす末期症状

子宮蓄膿症では細菌感染に関係した命に関わる続発性の疾患がみられます。子宮に感染した細菌は血液を介して全身に移行することがあり、細菌が血液に感染した状態を敗血症とよびます。敗血症では細菌自体による全身臓器への障害や、細菌が分泌するエンドトキシンとよばれる毒素による障害がみられます。

また、大量に貯留した膿は子宮を破裂させることがあります。犬のお腹には腸や子宮などの内臓が収容されている腹腔という空洞があり、腹膜とよばれる薄い膜で内張りされています。破裂した子宮から流れ出した膿は腹膜に感染を引き起こし、腹膜炎とよばれる激しい炎症を引き起こす場合があります。

敗血症や腹膜炎は毛細血管の塞栓と全身での出血を引き起こす播種性凝固症候群(DIC)や、全身臓器での破壊的な炎症である全身性炎症性反応症候群(SIRS)などの致命的なショック症状の引き金となり、虚脱や意識の消失、低体温などの末期症状を介して犬を死に至らしめます。

その他、子宮蓄膿症では下部尿路感染症、心筋や心膜の炎症、脳の血管の梗塞などいくつもの続発性の疾患がみられることがあります。

子宮蓄膿症の余命

子宮蓄膿症は死亡率が高い疾患であり、3-20%の犬が死亡すると報告されています。ただしこれは子宮蓄膿症のみに罹患した場合を指し、続発性の疾患がみられた犬ではより高い死亡率を持ちます。子宮破裂がみられた子宮蓄膿症の犬は57%の死亡率だったと報告されています。

動物病院でおこなう検査と治療

 

子宮畜蓄膿症の検査

動物病院では子宮蓄膿症が疑われる犬に対して、触診や視診などの身体検査、全身の炎症の程度や免疫細胞の数、内臓の状態を知るための血液検査、子宮を視覚的に調べるエコーやX線などの画像検査をおこないます。

外科手術をはじめとした治療

一般的に子宮蓄膿症の犬では外科的な治療により膿が貯留した子宮を切除します。治療が上手にいけば2週間以内に症状が良くなるとされています。

必要に応じて抗生物質の投与などによる内科的治療をおこなう場合もあります。長期の治療が必要であり、また治療に対するリスクや再発リスクも大きいため、かかりつけの獣医師と相談の上、治療方針を決めるようにしてください。

子宮蓄膿症を予防するためには

子宮蓄膿症を予防するためには避妊手術を実施することが効果的です。避妊では子宮蓄膿症や卵巣がんのような生殖器疾患を予防することができるだけではなく、生まれてから2回目の発情前に手術をおこなうことで乳腺腫瘍の発生リスクを大きく下げることができます。乳腺腫瘍は犬でよくみられる腫瘍性疾患であり、50%は悪性腫瘍であるとされています。

ただし、避妊をおこなうと犬は二度と妊娠できません。避妊による病気の予防効果と、手術によるデメリットの両方についてよく説明を受け、家族などの他の飼い主とも相談の上、実施を決めるようにしてください。

まとめ

  • 子宮蓄膿症は犬でよくみられる生殖器疾患である。
  • 細菌感染による敗血症や腹膜炎が致命的な末期症状を引き起こす。
  • 中高齢の未経産の雌犬でよくみられ、発情後2~4カ月以内に発症しやすい。
  • 子宮蓄膿症は避妊によって予防できる疾患である。
  • 2回目の発情前に避妊をおこなうと乳腺腫瘍の発生リスクも下げることができる。

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参考文献

Pyometra in Small Animals
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195561618300263?via%3Dihub
Pet Pyometra: Correlating Bacteria Pathogenicity to Endometrial Histological Changes
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8308915/
Desexing Dogs: A Review of the Current Literature
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6940997/
A retrospective study of pyometra at five RSPCA hospitals in the UK: 1728 cases from 2006 to 2011
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3812855/

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この記事の執筆者
執筆者

若林 薫氏

獣医師
ライター

若林 薫氏

獣医師
ライター

麻布大学を卒業し獣医師免許を取得、大手ペットショップで子犬・子猫の管理獣医師として勤める。その後、製薬企業での研究開発関連業務を経て、ライターとして活動する。幅広い専門知識を生かした記事作成を得意とする。

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