2021.06.18
2023.09.11
ペット散骨の注意点を場所ごとに解説|トラブルを避けるために確認すべき法律とマナー
ペットのご遺骨を散骨したい方や、散骨する場所に悩んでいる方は、この記事をご一読ください。散骨や粉骨のメリット・デメリット、おすすめの場所、関連する法律についても記載しております。愛するペットが安心して眠れるように、マナーを守った散骨を行いましょう。
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この記事の監修者
齋藤 鷹一氏
大森ペット霊堂
前代表 現アドバイザー
特定非営利活動法人SPA代表理事
齋藤 鷹一氏
大森ペット霊堂
前代表 現アドバイザー
特定非営利活動法人SPA代表理事
ペット葬儀業界の透明化を目指し、2017年より大森ペット霊堂で代表を勤めた。動物への愛情を訴え続け、現在は命を救う活動に専念をする。亡くなった命にも生きている命にも同等の尊厳を持たなければペットの仕事をしてはいけないと感じている第一人者。
ペットのご遺骨を散骨するには
愛するペットが亡くなったあと、現代では多くの飼い主様が火葬をされています。
その後、ご遺骨をどうするかは飼い主様次第ですが、一般的な選択肢としては以下の5つが挙げられます。
- 手元供養
- 自宅の庭に埋骨
- お墓や納骨堂に納骨
- 散骨
- ご遺骨を引き取らない
今回はこの中の「散骨」について解説していきましょう。
粉骨は必ず行おう
散骨は自然葬のひとつです。ご遺骨を骨壺から出して散骨することで、ご遺骨を自然に還すことができるうえ、一般的にはお墓を建てるよりも安価に済みます。散骨はご家族への継続的な負担がなく、近年人気の葬送方法です。
散骨する前に必要なのは、粉骨です。
愛するペットのご遺骨を散骨することになったら、必ず粉骨をする必要があります。
なぜなら、粉骨もせずにご遺骨の形がわかる状態で散骨してしまうと、自然に還るという目的を成し遂げるまでかなりの時間を要してしまいます。その間に散骨した場所が開発されたり、掘り返されたりすると、自然葬を行った意味がありません。
そのうえ、火葬した骨は見た目だけではどの生物のものか判断できず、人間の骨ではないかと思われてしまった場合、通報されてしまう可能性もあります。
このようなことになれば事件として扱われ、散骨したご遺骨を警察が回収し、検査に回されます。動物の骨だとわかったら、ゴミとして捨てられる可能性が高く、葬送とはいえなくなってしまうでしょう。
粉骨してご遺骨をパウダー状にすることは、マナーとしても葬送・ご供養という目的を果たすためにも必要なことなのです。(※1)
ペットのお骨を自然にと考える家族様は近年増えております。ですが散骨した場合、お参りに行くのもその場所に足を運びます。ルールを守り、供養の場所として相応しい散骨場所を選んでください。
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ペットの散骨に関わる法律
次に、ペットの散骨に関わる法律を確認しておきたいですね。実を言うと、ペットの散骨に関する法律はありません。
強いて言えば、ペットのご遺体をペット葬儀業者に委託して火葬した場合、ペットのご遺体は廃棄物には当たらないという通知が厚生労働省より出ているということくらいです。
これは、「動物霊園事業に係る廃棄物の定義等について」という通知に記載されています。(※2)
「照会に係る動物霊園事業において取り扱われる動物の死体は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二条第一項の廃棄物には該当しない。」
この一言により、ペットのご遺体を火葬しても、今のところは廃棄物処理法違反には問われません。この通知の主旨に則れば、ペット葬儀業者が宗教的・社会慣習的にご遺骨を供養することも現状は問題無いと言えるでしょう。
ただし、この通知はあくまで「動物霊園事業」についてのものであり、個人の散骨については未だルールが定まっていません。このため、常識を外れないよう、マナーは守る必要があります。
例えば、人間のご遺骨を散骨した場合は、あまりにもマナーや常識から逸脱すると、刑法190条の遺骨遺棄罪に該当してしまう可能性や、墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)に違反する可能性も考えられます。(※3)
なぜなら、法務省刑事局は1990年に非公式ながらも、葬送目的で節度を持って行えば、散骨は遺骨遺棄罪に該当しないという見解を示しているからです。これは、節度を持って行わない場合は、遺骨遺棄罪に該当するかもしれないということにほかなりません。
そして、自治体によっては墓地以外に散骨することを禁止しているところがあります。
例えば、北海道の長沼町さわやか環境づくり条例には、「第11条 何人も、墓地以外の場所で焼骨を散布してはならない。」という一文があります。
これは、平成17年3月16日に公布された、散骨を禁止する日本初の条例で、散骨に関する条例のパイオニア的存在です。墓埋法に関係なく、あくまでも環境問題を前提としているところがこの条例の核になっています。
これにより、秩父市環境保全条例が、第36条で同じような条文を追加しました。そして、北海道七飯町や岩見沢市のように、適正な散骨が行われるようにする条例を設けた市町村も出てきています。
このように、人間の場合でも散骨はグレーゾーンであり、散骨を行う人の節度次第では犯罪に該当する恐れもあるため、条例もチェックしなければなりません。
ペットの場合は条例をチェックする必要はありますが、明確な法律はありません。そのため、ペットが好きだった散歩コースに散骨してしまう人もいます。気持ちはわかりますが、この行為を目撃した方はどう思うでしょうか。
撒かれたご遺骨が誰かの飼い犬の鼻や口についたり、洗濯物などにかかったりしないとも限りません。そもそも、散骨したご遺骨を通行人として踏んでしまうこともあるでしょう。
迷惑と感じるかどうかは人それぞれですが、動物が嫌いな人もいれば、ご遺骨を自宅の周りに撒かれるのが嫌という人もいるでしょう。
例え自分の家の庭に散骨する場合であっても、周辺住民へ断っておく必要があるほどです。他人の家の周辺に散骨する場合は特に、色々な方に許可を取っておいた方が良いでしょう。
大切なのは愛するペットが安心して眠ることです。明確な法律がないからと言って、何をしても良いわけではありません。揉めることなく節度と礼節を保って送り出してあげる必要があるのではないでしょうか。(※4)
ペットのご遺骨を散骨して良い場所悪い場所
では、ペットのご遺骨はどこに散骨すれば良いのでしょうか。まずは散骨したい市町村の条例をチェックしてください。
そのうえで、さまざまな選択肢を考えてみましょう。
自分の土地
まず、自分の土地への散骨はどうでしょうか。
前述の通り、自分の土地には散骨しても構いませんが、周辺住民には断っておいた方が良いですし、住宅が密接している場合は散骨を見送った方が無難です。
どうしても自分の土地に還してあげたい場合は、できるだけ他人に影響しないように、粉骨したご遺骨を庭に埋骨してあげた方が良いのではないでしょうか。
また、将来引っ越しや解体などの恐れがある場合も、散骨や埋骨は見送りましょう。
ご家族と離れてしまうと無縁仏になってしまいますし、散骨してしまうと掘り返すこともできません。
そして、万が一散骨や埋骨した後、売却することになってしまったら、トラブルを避けるためにも、売却する不動産会社にペットが眠っていることを伝えておいた方が良いでしょう。
山
山や森、林などに散骨してあげたい場合は、その土地の所有者に許可を取る必要があります。もし、許可なく散骨した場合は、損害賠償を請求されることもあり得ますので、必ず許可を取りましょう。
また、水源となる場所や川、湖、沼などに散骨はしないでください。
実は、前述した散骨に関する条例は、東京都の水源で散骨されたことに由来します。このような場所で散骨すると、生前使われていた薬などの化学物質(有害物質)が川に流れて水質が悪くなるうえ、風評被害に繋がると近隣の農家などに迷惑がかかります。
直接水源を利用する住民の気持ちを考えると、散骨された水を使う気にはなれないでしょう。
刑法 第143条の「水道汚染罪」に該当する可能性もあるため、水源や川などへの散骨は絶対にやめましょう。
空
近年は空から散骨する葬送方法も人気です。
空中葬、空中散骨と呼ばれるのは、ヘリコプターやセスナ、ドローンなどで散骨します。
バルーン葬は風船で成層圏まであがって散骨し、宇宙葬はロケットで宇宙に打ち上げて散骨します。
この中で最も安価なのはドローンで、散骨用ドローンが特許申請されているほどです。
しかし、空からの葬送方法は、どこに散骨するかという問題が解決しません。
中には、ヘリコプターや飛行機で海上に出て、漁業権のない海に散骨するというプランもありますが、これなら海洋散骨と変わりません。高いお金を出して空から散骨するメリットは、空が好きだった人間の場合ならあるかもしれませんが、ペットはどうでしょうか。
また、遺族や飼い主等の希望する地点に散骨してくれる業者もありますが、これも各地域の条例などを確認する必要がありますし、業者が散骨許可を取っているかどうかも確認しなければなりません。
バルーン葬に関しては「近辺に高層ビル、電線などの障害物がない場所」に限られるため、山や海になってしまうことも考えられますが、山の場合は所有者がいます。
空から散骨する場合は、散骨する場所にじゅうぶん注意をしてください。
また、業者の中にはペットとの思い出の場所を飛行機で訪れたあとに、海の上に散骨するというプランを作っているところもあります。
散骨だけで言うと海洋散骨と変わりませんが、ペットとの思い出の場所を上空からめぐることはなかなかできることではないため、これは良い葬送になるのではないでしょうか。(※5)
他人の土地
他人の土地に散骨するなら、必ず所有者に許可を取りましょう。
他人の家に散骨する方はいらっしゃらないと思いますが、山や森、林だけではなく、空き地やマンションの共用の庭、農地、良く訪れていたお店などの花壇、墓地も他人の土地です。
このような場所に散骨する場合は、所有者に許可を取ってからにしないと、訴えられる可能性もあるでしょう。人気のない時間帯であっても、必ず許可を取ってください。
学校の校庭や公園など、国や都道府県、市町村などが保有している公共の場所の場合は、不快に思う人もいますので、散骨はやめましょう。
海の一部
海に散骨をする場合は、漁業権のある場所や海水浴場、沿岸、浅瀬、観光地などは避けてください。風評被害などのために訴えられる可能性がありますし、散骨を不快に思う人もいるからです。
船をチャーターするか、散骨業者に依頼して、誰の権利も侵害しない遠洋へ行き、散骨してください。
遠洋なら、ここまでご紹介したどの場所よりもトラブルが少ないです。
ご納得の行く特別なお見送りの形
「ありがとう」が伝わる葬儀にする。そんなお見送りで悲しみを少しでも和らげるよう、 私たちはご遺族を支えていきたいと考えています。
自宅での葬儀
家族立ち合い
セレモニー
家族でお骨上げ
骨壺に納めご返骨
霊園への埋葬
散骨におすすめの場所とは
ここまで散骨できる場所について考えてきましたが、例え自分の土地だとしてもさまざまな制約があることがわかりました。
では、結局のところ、散骨におすすめの場所はどこなのでしょうか。
それは、前述した通りトラブルの少ない遠洋の海です。
海洋散骨
海洋散骨は、散骨業者の中でも対応しているところが多く、メジャーな方法と言えます。
遠洋に出て散骨を行うため、トラブルが少ないというのが一番の理由です。
ペットが好きだったお散歩コースや公園、自宅の庭に散骨した方がお金もかからず楽でもありますが、これらがメジャーにならないのは、やはり、トラブル回避やマナーを重視した結果と言えるのではないでしょうか。
これらの場所に散骨することをすすめる記事も多々ありますが、公共の場所での散骨や、近隣住民の許可のない散骨は絶対にやめましょう。
散骨業者に依頼をして、船で遠洋に出て散骨すれば、マナーの面からも心配はありません。きっと愛するペットも安心できることでしょう。
業者の中には火葬から散骨まで、一任できるところもあります。船が苦手、時間がないなどの理由で、飼い主様自ら散骨できないときは、代行してくれる業者を選ぶと良いでしょう。
また、人間とペット、一緒に散骨できる業者もあります。ご家族様がご希望されていた場合は、このような業者を探してみてください。
こちらの記事もご覧ください
散骨のメリットとデメリット
最期に、散骨のメリット・デメリットを確認しておきましょう。
メリット
散骨のメリットは以下の4つがあげられます。
- 管理費などの維持費がかからない
- 届け出が不要なので手間が少ない
- 周辺住民の理解さえ得られれば、ペットが好きだった場所で眠ることができる
- 部屋に骨壺を置かないため、スペースをとらない
維持費や手間、スペースをとらないのが散骨の大きなメリットです。
デメリット
散骨のデメリットは以下の4つです。
- 法律がない分、個人の常識やマナーに左右され、トラブルになりやすい
- 参拝ができない
- お供え物や焼香ができない
- 散骨したご遺骨は戻らない
散骨したご遺骨は戻らないというのは、特に注意をしなければなりません。
散骨中にトラブルになった場合、散骨してしまった分はもちろん戻りません。
途中で散骨をやめなければならなくなるようなことは避け、きちんとした供養をしてあげましょう。
トラブルを避けるには、個人で散骨を行うのではなく、信頼できる業者に依頼するのが一番です。
まとめ
- 散骨は自然葬のひとつ
- 散骨は粉骨してから行う
- ペットの散骨に関する法律はなく、散骨に関する条例はチェックしておくべき
- ペットの散骨に関する法律がないぶん、マナーや常識に左右される
- 自分の土地に散骨する場合は、住宅が密集している場合や引っ越す予定があるならやめる
散骨を考えておられる家族様方は、どこに散骨をすればいいのかと、お骨を撒くことのできる場所を検討しています。
しかし、無断不用意な場所に散骨をしてしまった際に、周りから恨みを持たれトラブルに巻き込まれるケースもございます。
条例もそうですが、それ以上に近隣住民の皆様や土地所有者様などと話し合いすることが大切です。それはご自身の為にもなりますし、また大切なペットのお骨の供養の為にもなる事でしょう。
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※1:ペットの散骨は自分で行っても良いの?【散骨場所は?法律的には?】
https://www.pet-farewell.net/column/%E3%83%9A%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E6%95%A3%E9%AA%A8%E3%81%AF%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%A7%E8%A1%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%82%82%E8%89%AF%E3%81%84%E3%81%AE%EF%BC%9F%E3%80%90%E6%95%A3%E9%AA%A8%E5%A0%B4/(参照2021-6-18)
※2:動物霊園事業に係る廃棄物の定義等について
http://www.env.go.jp/hourei/11/000296.html(参照2021-6-18)
※3:自分で散骨できる場所と方法・法律を含む注意点
https://www.sankotsu-umi.jp/news/449/(参照2021-6-18)
※4:どこに散骨した?愛犬・愛猫の散骨とみんなが選んだそれぞれの場所
https://funkotsu.com/pet-sankotsu-place/(参照2021-6-18)
※5:空や宇宙へ散骨できることをご存知ですか?
https://omoiyari-s.com/column/sankotu/7845/(参照2021-6-18)
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この記事の執筆者
竹田 恵氏
ペットシッター士
ライター
竹田 恵氏
ペットシッター士
ライター
2017年よりライターとして活動中。子供の頃から動物好きで、猫、ハムスター、うさぎの飼育経験あり。現在はシーズー犬と一緒に暮らしている。犬は他の動物と比べて人間と密な生活になるため、ペット関係の資格を取得した。
運営元情報
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