樹木葬とは

樹木葬は墓石を使いません。墓石の代わりに木や花を植え（シンボルツリー）、モニュメント（墓標）にします。もちろん、自然に生えている木の下に遺骨を埋葬する場合もあります。
樹木葬は近年人気が出てきた埋葬方法のひとつですが、実は昔ながらの葬送で、自然葬のひとつです。

自然の中で眠り、土に還るのが生き物として一番自然なことだと考えると、樹木葬はとてもシンプルで素敵な葬送と言えるでしょう。

また、樹木葬は宗教に縛られないうえ、1代限りの埋葬方法をとります。跡継ぎのいないご家庭には特に人気の埋葬方法です。
人間のお墓で確認してみると、都立小平霊園の樹木葬の倍率は平成28年度で10.0倍でしたが、平成31年度には15.7倍、令和2年度には14.4倍となかなか当たらないレベルになっています。ちなみに、一般のお墓なら都立小平霊園でも令和2年度は5.4倍なので、樹木葬の人気の程が知れる数値です。（※：1，2，3）

この樹木葬はペットのお墓にもあり、選ばれる飼い主様も多いようです。ここからはペット樹木葬について詳しく解説していきましょう。

ペット樹木葬は大きく分けて2つの埋葬方法がある

ペット樹木葬は個別型と合祀型の2つの種類があります。

個別型

費用相場

• ペットのみ：10~30万円
• 飼い主も一緒に眠れる：60~80万円

個別型の樹木葬とは、ご遺骨ごとに決められたスペースに納骨するタイプのことです。名前付きのプレートなどでどこに埋葬されたかわかるようになっていて、樹木（シンボルツリー）は大木１本であったり、個々に植えられていたりします。

合祀型

費用相場

• ペットのみ：1万円
• 飼い主も一緒に眠れる：30~50万円

合祀型の樹木葬とは、人間の永代供養墓と同じように、複数のご遺骨を1本の樹木の周りにまとめて納骨するタイプです。個別のスペースがない分安価に済みますが、ご遺骨にではなく、シンボルツリーに向かって手を合わせることになります。個々のご遺骨のお名前は一覧になったプレートなどに刻まれるため、個別のプレートはありません。

ペットと一緒に眠りたい！人間と一緒に埋葬するなら墓地や霊園に

飼い主様も亡くなったあと、ペットと一緒に眠りたいと願う方が増えています。かくいう筆者もペットと一緒に眠れるお墓を数年前に建てました。このような場合は、ペット霊園（ペット専用墓地）ではなく、人間用の墓地や霊園、寺院墓地に埋葬する必要があります。ただし、ペット可の墓地に限ります。
樹木葬を希望する場合は、ペットと一緒に眠れる樹木葬霊園を探さなければなりません。

そして、ペットと一緒に眠りたいという希望は、個々のお墓で一緒に眠りたいのか、同じ霊園の中で一緒なら良いのか、きちんと決めてから探してみてください。（※4）

例えば、東京都あきる野市にある都内最大の公園墓地、西多摩霊園には、西多摩霊園に墓所をお持ちの方とその縁者のみが使えるペット供養塔があります。ペットはこの供養塔にまとめて合祀されますが、人間は個々のお墓に入ります。
同じ敷地内で一緒に眠るというタイプなので、ペットは1霊ごとに1万円で埋葬できます。このため、ペットの埋葬だけで言えば比較的安価に済むでしょう。

対して、東京都八王子市にある八王子メモリアルパークは、Withペットという区画があります。この中にお墓を建てると、ペットも一緒に納骨することができ、同じお墓の中で眠ることが可能です。
このタイプだと、墓石代や年間管理料、永大供養料、納骨料がかかります。

また、東京都中野区にあるシムティエール山手の杜はペットと一緒に眠れるお墓の他に、樹木葬もあります。ここは樹木ではなくアザレアがシンボルです。
モニュメントが墓石なので、墓所使用料と年間管理料の他に、墓石代がかかります。大きさにより骨壺で２霊から４霊納めることが可能です。

このように、「ペットと一緒に眠れるお墓」と一口に言っても、さまざまな種類があります。できるだけ早いうちにご家族で話し合い、希望を明確にしておくと良いでしょう。

監修者コメント

齋藤 鷹一

大森ペット霊堂
前代表　現アドバイザー
特定非営利活動法人SPA
代表理事

人の樹木葬は認知が広まってきましたが、ペットのお骨を樹木葬できる施設は、まだまだそこまで多くありません。
今後、供養の選択肢として増えてくるでしょう。
大切なペットと一緒に眠れる人用の墓地・霊園、ペット専門の霊園などに問い合わせをしてみましょう。
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ペット樹木葬のメリット

• 遺骨を自然に還すことができる
• 宗派を問わない
• 後継者がいなくても安心
• お墓に比べて費用を抑えられる

樹木葬のメリットは、遺体を自然に還すことができる点です。
土へ還ることができることは最大のメリットでしょう。
また、墓石や納骨堂などのお墓よりも費用が抑えられることや、宗派を問わないこと、後継者がいなくても引き継ぐ必要がないため安心です。

ペット樹木葬のデメリット

• 遺骨を取り出せない場合がある
• お墓参りが不便な場合がある
• 自然ゆえに荒れてしまうこともある

自宅庭での樹木葬は、遺骨を取り出すことができません、引っ越しなどの予定がある方は注意が必要です。
また、里山などで行う樹木葬は、交通の便が悪いことくお墓参りがしづらくなってしまうという問題もあります。

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ペット樹木葬の費用相場と内約

ここからはペット樹木葬の費用相場について確認します。

永代使用料

費用相場

• 37~46万円

まずは永代使用料です。これは埋葬する土地を使わせてもらうために払うので、1度きりです。基本料金と考えれば良いでしょう。

東京都大田区にある久が原庭苑のように、永代使用料込みという料金体系のところもありますが、一般的には樹木葬の広さにより料金が変わります。

例えば、千葉県松戸市にあるサニープレイス松戸の樹木葬のうち、ペット共葬エリアの永代使用料は46万円です。埼玉県所沢市にあるサニープレイス所沢のペット共葬エリアなら、37万円～となっています。東京都町田市にあるメモリアルパーククラウド御殿山のペットと一緒に入る樹木葬の永代使用料は42万円なので、都心だと高いというわけではありません。

また、中には永代使用料ではなく、墓所使用料という表記をしている霊園もあります。例えば、シムティエール山手の杜などがそれにあたります。（※5）

納骨料

費用相場

• 1~3万円

納骨料は、納骨するときに必要なお金です。事務手数料と奉仕料がその内約で、霊園ごとに金額が違うため、事前に確認をしてください。中には別途骨壷代がかかる霊園もあります。

筆者が猫を墓石つきのお墓に埋葬した際は、事務手数料1,000円、奉仕料3万円でした。
東京都大田区にある久が原庭苑の納骨料は3万3千円、東京都町田市のメモリアルパーククラウド御殿山なら3万円です。

これを見てわかるように、納骨料はペットの場合、だいたい3万円前後と考えてください。人間の場合は、僧侶を呼ぶか否かでだいぶ金額が変わってきます。事前に確認しておきましょう。（※6）

管理料

費用相場

• 無料~1万5千円

管理料は年間維持費と記載されているところもあります。その名の通りお墓や墓地の維持費に使われます。

これは筆者の経験から感じたことですが、霊園の中には管理料を払っていれば、お墓の清掃（ダメになった生花の掃除など）をしてくれるところがあります。このような霊園なら、とても清潔感にあふれ、気持ちよく過ごすことが可能です。

しかし、一部の霊園では霊園全体のゴミ箱の管理や木の世話のみしかやってくれないところもありますので、契約の際にどこまで行ってもらえるか確認しておくと、今後のお墓参りのスパンなどの参考になるでしょう。

金額は霊園ごとではなく、契約したプランごとに変わります。
例えば、久が原庭苑の「華」は1万円ですが、「安」は1万5千円です。反して、サニープレイス松戸は、管理費が不要の霊園です。無料はとてもポイントが高いですが、このような霊園は必ず事前に見学をし、管理が行き届いているか否かを確認すると良いでしょう。
とてもきれいに整備されているのに無料なら、とても良い霊園と言えるからです。（※7）

銘板彫刻代

費用相場

• 2~5万5千円

銘板彫刻代は全ての樹木葬でかかるわけではありません。これは、いわゆるプレートに名前を刻む料金です。プレートがないタイプを契約すれば、この金額はかかりません。

ただし、樹木葬は樹木をシンボルにしているため、月日と共に見栄えが変わっていきます。そのため、プレートがないとどこに埋葬したかわからなくなる可能性が高く、できるだけプレートなどの目印がある霊園を選択した方が無難です。

久が原庭苑なら彫刻代5万5千円です。埼玉県所沢市のやすらぎの花の里 所沢西武霊園なら、2万2千円で済んでしまいます。ただし、この金額についてはプレートに刻めるものの範囲や、石の変更ができるか否かなどにより違いますので、事前に調べておきましょう。（※8）

樹木葬を選ぶなら押えておきたいポイント

樹木葬のメリットは、自然の中で眠り、自然に還ることができることと、1代限りの埋葬であることがあげられます。

しかし、どんなものにもデメリットはつきものです。樹木葬を選ぶにあたって押えておきたいポイントを確認しておきましょう。

宗派宗教

まずはどのようなタイプのお墓にするにしろ、確認しなければならないのが宗派宗教です。

自分が信仰している宗教がある場合はもちろん、無宗教の場合で寺院墓地を利用する際、檀家になる必要の有無を確認してください。

樹木葬の場合は檀家にならなくても使える寺院墓地がありますが、中には檀家にならなければならないところもある可能性があります。事前に確認をしてから、進めるようにしましょう。

今後遺骨を取り出せなくなること

樹木葬は自然に還るお墓がほとんどです。この場合、後からご遺骨を取り出すことができません。

子孫がお墓を作った場合や引っ越した場合でも移すことができないため、樹木葬を選ぶ際はきちんと家族と話し合って決めましょう。

自宅の庭で行う樹木葬について

ペットの遺骨は、「私有物」として扱われるため、手続きなどの必要なく自宅の庭に埋葬することが可能です。
その際に、樹木とともに埋葬することで、自宅の庭で樹木葬にすることが可能です。
また、ネット通販などでは、「樹木葬キット」も販売さています。
こちらは、最初から必要なグッズが揃っており、遺骨があれば庭のないマンションでも簡単に樹木葬を行うことができます。

まとめ

• 樹木葬とは墓石の代わりに樹木をシンボルツリーにする埋葬方法
• 樹木葬には「個別型」「合祀型」の2種類がある
• 樹木葬には永代使用料や管理料などが発生する
• メリット、デメリットがあるため必ず確認をする
• 樹木葬は自宅の庭でも行える

現在、樹木葬は、ペットに対する埋葬方法としても需要が高まっています。
また、ペットだけでなく飼い主も一緒に眠れるプランも注目されています。
亡くなった後は自然に還したいと考える方は、是非この機会に樹木葬を検討してみてはいかがでしょうか。

監修者コメント

齋藤 鷹一

大森ペット霊堂
前代表　現アドバイザー
特定非営利活動法人SPA
代表理事

樹木葬とは、お骨を自然に還してあげることであり、自然葬とも言われております。樹木葬を選択し、お骨を埋めてしまうと、遺骨は手元に戻すことはできません。
ペットのお骨を樹木葬したいと考えるご方は、慎重に検討してください。また、一部のお骨をカプセルなどに残し、残りを自然に還す方も増えております。ご家族様でよくお話し合い、納得のいく樹木葬をしてあげてください。
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